道路交通法では、「自車よりも速い後続車」に追い付かれたクルマには“ある義務”が発生します。一体どのような内容なのでしょうか。
■「他の車両に追いつかれた車両の義務」がある!
クルマを運転中に、「自車よりも速い後続車」に追い付かれることは珍しくありません。
とくに高速道路の右車線ではよく見られるシチュエーションですが、実はこの際「追い付かれた側」に、ある義務が発生するといいます。
道路交通法 第27条第1項を確認すると、「他の車両に追いつかれた車両の義務」として、以下の条文が記載されています。
「車両(道路運送法第九条第一項に規定する一般乗合旅客自動車運送事業者による同法第五条第一項第三号に規定する路線定期運行又は同法第三条第二号に掲げる特定旅客自動車運送事業の用に供する自動車(以下「乗合自動車」という。)及びトロリーバスを除く。)は、第二十二条第一項の規定に基づく政令で定める最高速度(以下この条において「最高速度」という。)が高い車両に追いつかれたときは、その追いついた車両が当該車両の追越しを終わるまで速度を増してはならない。
最高速度が同じであるか又は低い車両に追いつかれ、かつ、その追いついた車両の速度よりもおそい速度で引き続き進行しようとするときも、同様とする」
これを分かりやすくまとめると、政令で定める最高速度の高いクルマに追い付かれた場合、そのまま後続車よりも遅い速度で走り続けるのであれば、後続車が追い越しを完了するまで加速してはいけない、つまり「加速の禁止」が義務付けられます。
そして、もし追い付いてきたクルマに追い越されまいと妨害的に加速した場合、「他の車両に追いつかれた車両の義務違反」として、違反点数1点、6000円の反則金(普通車)が科される可能性があるのです。
さらに、後続車よりも遅い速度で引き続き走行するにもかかわらず道を譲らない場合も、同様の罰則となります。
■「進路を譲る義務」も発生する
もうひとつ、特定の条件下ではスムーズに追い越しができるよう「できる限り左側端に寄って進路を譲る」という義務も生じます。
これは道路交通法第27条第2項で定められており、「車両通行帯がなく道幅の狭い道路」において追い付かれた側が後続車両よりも遅い速度で走り続ける場合、左側に寄って後続車に道を譲らないといけません。
そして「道路交通法 第27条第1項」と同じく、道を譲らなかったり加速して追い越しを妨害すると違反に該当し、違反点数1点、6000円の反則金(普通車)が科せられることになります。
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事故を防ぎ、道路交通を円滑にするためにも、「スムーズに道を譲る」ということは非常に大切です。
もし自分よりも速い後続車に追いつかれたら、「他の車両に追いつかれた車両の義務違反」にならないよう、そして双方が安全かつ快適に走れるよう、タイミングを見つつ道を譲るようにしましょう。