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豪雪で「EV」ってホントに大丈夫!? 2年ぶり“大雪警報”の東京をトヨタ「最新SUV」で走る! 感じた印象は?

くるまのニュース 2024年2月15日 21時10分

都心で大雪警報が出るなか、トヨタ「bZ4X」で東京都23区内を走行してみました。気温が低く、大渋滞のなか最新EVは使えるのでしょうか。

■未曾有の大雪を「bZ4X」で走ることに…

 2024年2月5日から6日午前中にかけて、南岸低気圧の影響で関東地方では山沿いを中心に大雪となりました。
 
 そんななかで、トヨタの最新EV「bZ4X」を使い、2年ぶりの大雪警報が発令されている東京23区内を走行しました。

 bZ4Xは、トヨタとスバルが共同開発したSUVタイプの電気自動車で、2021年4月に発表されました。日本では2022年5月に発売されています。

 プラットフォームには、両社で共同開発した「e-TNGA」BEV専用プラットフォームを採用し、滑らかで意のままの走行性能を実現しました。

 パワーユニットには201Ahの大容量大型リチウムイオンバッテリーを搭載。これに150 kW(203馬力)のモーターを組み合わせ、航続可能距離は最大567kmを誇ります。

 さらに、80kW(109馬力)のモーターを前後に配置した4WD車も用意しており、スバルの四輪制御システム「X-MODE」と「グリップコントロール」を組み合わせることで、高い悪路走破性を誇ります。

 今回は前輪駆動仕様の上級モデル「Z」(スタッドレスタイヤ装着車)に試乗しました。実は当初、このbZ4Xは別の取材で使うことを予定しており、翌日に遠方へ向かう予定だったのです。しかし予定はすべて中止となり、交通状況確認と回送のため都内から千葉県内まで走行することとなりました。

 エクステリアの印象は、トヨタの最新デザイン「ハンマーヘッド」スタイルを先行して採用。現在では「プリウス」や「クラウン」シリーズにも採用されてはいるものの、一目でトヨタ最新モデルとわかる仕上がりです。

 その一方で、フロントではグリルがロア(バンパー部分)のみとなっていて、通常のエンジン車ならグリル開口部のある部分は複雑な面のみで構成されている点や、真一文字のテールランプから下部に向かって連続したデザインとされた部分が先進感を高めており、新時代のSUVらしい独創的なものとなっています。

 また、前後のフェンダーなどの加飾パネルはbZ4X独自のもので、力強くタフなイメージを感じさせます。

 改良が行われた現行モデルでは、無塗装樹脂からブラックメタリックと変更されており、ルーフ上部がブラックとなる2トーンを組み合わせるとほかのモデルにはない独特の雰囲気を醸し出しています。

 ボディサイズは全長4690mm×全幅1860mm×全高1650mm、ホイールベースは2850mmです。

 インテリアはブラックに加えてライトグレーが設定されており、今回はこのライトグレー仕様となっていました。

 インパネからドアトリムまで連続形状となっていることや、インパネもメーターやセンターディスプレイ、センターコンソールが立体的に配置され、奥行きある空間に仕上がっています。

 さらに、Zグレードではシート合成皮革となっていることや、インパネにもファブリック素材が貼られるなど、上質でモダンな印象を与えます。

 先進運転支援システムでは「プリクラッシュセーフティ」「レーダークルーズコントロール」「レーンデパーチャーアラート」を装備し、さまざまなシーンでの安全運転を支援するほか、駐車を支援する「Advanced Park」も設定しています。

■大雪のなかで「EV」ちゃんと使える?

 関東地方では大雪に備えて高速道路の予防的通行止めが実施されました。特に東京23区では早い段階から首都高速の段階的な通行止めと立体交差の封鎖などが行われたことで、都外へつながる国道や都道などの大通りでは大渋滞が発生していました。

 bZ4Xは満充電の状態でしたが、電欠で立ち往生しないように工夫する必要が発生します。

 0度という厳しい寒さであったため、内燃エンジン搭載車の場合は通常、暖房を作動させますが、EVの場合は暖房がバッテリーを多く消費することが問題となります。実際に、暖房を最大限まで強めると、メーターに常時表示される航続可能距離が変わってしまうことも確認できました。

 その一方、bZ4Xにはシートヒーターやステアリングヒーターなどが装備されており、バッテリーを節約しつつも効率よく暖を取ることができます。

 さらに、ステアリングコラム下や助手席インパネ下部に遠赤外線による「輻射(ふくしゃ)ヒーター」が装着されており、風や音が発生せずに下腿を暖めることができ、暖房を強める必要はなく、始動直後からの効きも良好です。

 また、外部からの遮音性能も実感できました。当日は風が強かっただけでなく、渋滞では大型車や渋滞をくぐり抜ける二輪車なども多く見られましたが、そうした他車のエンジン音などが遮断され、常に静かな空間となっています。

 この遮音性能も相まって、オーディオをオンにするとZグレードに標準装備されるJBLプレミアムサウンドシステムの音質の良さもわかります。9つのスピーカーによって低音から高音までクリアに聞き取ることができ、BEVならではの静かさというメリットを実感できます。

異例の大雪で明らかになったこととは

 大渋滞によって30分以上に及ぶ長時間の停車があると、停まっていると車体にも徐々に雪が積もってきます。

 リアウインドウにはワイパーが装備されず、ウインドウの角度も比較的寝ているため、雪が積もってしまう心配があったものの、積もることはなくデフォッガーで素早く温めておけば凍結も予防することが可能です。

 また、リアのカメラに雪が付着したことでデジタルインナーミラーの視界が不良になることがありました。その対策として、カメラにウォッシャーを吹き付けるカメラ洗浄機能があり、ワイパーレバーを奥に倒すだけですぐに視界が確保されました。

 しかし、ヘッドライトは発熱の少ないLEDなうえ、ボンネットにも熱源となるエンジンがないため、フロント部やボンネット周りに雪が付着すると溶けにくく、時々車外に出て雪を落とすことが必要な点は気になる人もいるでしょう。

 大雪のため速度を出せる状況にはありませんが、通行止め直前の首都高速を走行することができました。

 アクセルや回生ブレーキの制御は自然なフィーリングで、ストップアンドゴーが多発する大渋滞でも同乗者に不快な思いをさせないようにスムーズに走行できます。

 前輪駆動モデルでも、周囲の商用バンなどが空転しながら発進するような急な坂で難なく走破することが可能です。

 首都高速は除雪車が走行しており、大きなわだちがあったり、雪塊が落ちていることもありましたが、そうした悪い路面においても大きくステアリングが取られることや不快な振動なども抑えられている印象です。

 橋の上などでは吹雪のような状態でかなり風の強いところもあるなど、雪国のような様相を呈しています。この状況でも車体が大きく揺さぶられたりせずに直進できたため、空力性能に優れていることがわかりました。

 予想できない大雪と大渋滞に見舞われ、50km程度の移動にもかかわらず3時間以上かかるという過酷な状況でしたが、目的地到着時点でバッテリーは70%近くが残っています。

 この時点で暖房を作動させた状態で240km以上が走行可能となっており、まだ十分に走行できる状態です。

 スムーズかつ静かな走行ができ、インテリアの質感も上々であったため、本来の長距離取材が叶わなかったことが悔やまれましたが、雪のEVは大丈夫かという心配は杞憂に終わり、まだ走ってみたいと思わせる仕上がりでした。

※ ※ ※

 bZ4Xの価格(消費税込)は550万円から650万円です。

 bZ4Xは政府のクリーンエネルギー自動車導入促進補助金対象となっており、85万円が補助されるほか、各自治体においても補助金の設定や各種税金の免除などがあるため、購入にあたって優遇を受けることができます。

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