現在、種類は様々になってきている教習車。今回は、交通ルールを学べるおもしろ教習車について紹介します。
■交通ルールを再確認!走る運転の教科書
普段街中を運転していて、「仮免許練習中」と書かれた教習車を見かけることがあります。
そんな教習車ですが、なかには遊び心が満載で一見変わったデザインの教習車もあります。
それが、滋賀県大津市にある「月の輪自動車学校」が導入している「学べる教習車」です。
教習車の車体に、「車線変更の3秒前に合図」「曲がるときは後輪を通すのがコツだよ!」などと、安全運転のコツがイラストとともに車体に記載されているのが特徴で、クルマそのものが運転について教えてくれます。
運転教本の1ページがクルマになったような教習車をイメージし、人気イラストレーターわかるさんの絵を使用することで、より伝わりやすく街を走っていてもかわいいデザインになるようにこだわって制作されています。
この「学べる教習車」の導入経緯について、月の輪自動車学校の担当者は次のように話しました。
「仮免許で路上練習。誰しも最初はみんな、ドキドキしながら公道を走ったはずです。
教習車は、そんな安全運転の初心を思い出す『リマインダー』かもしれません。
しかし、免許を取得して慣れてくると、運転が荒くなってしまうドライバーが多いのも現状です。
時には、悲しい交通事故が起こってしまうことが少なくありません。
街中を走る教習車は、そんな気持ちを改め『初心を振り返る』存在になれると考えました」
周囲の運転者に伝えたい安全運転のコツや、ドライバーが忘れがちな運転アドバイスを教習車にラッピングして走ることによって、少しでも交通事故防止や交通マナーの向上に役立てればという思いから制作を始めたそうです。
「学べる教習車」は、まだ慣れずにノロノロ運転をしている教習車を邪魔だなとイラっとするのではなく、免許を取ったときの「初心」を思い出してもらえる存在になって欲しいという願いが込められています。
■教習生の反応は?滋賀県からの表彰状も!
ユニークかつためになる「学べる教習車」ですが、教習生や地元の人からはどのような反応が寄せられたのでしょうか。
前出の担当者は次のように話しました。
「教習生からはかわいいという声をよく聞きます。
また、実際の教習で使用する際に、その時間に勉強する内容をクルマのデザインで見てもらってから乗車することもよくあります。
また、学べる教習車で教習中に信号待ちで指をさされる割合が増えました」
さらに、「わかりやすいイラストを用いて安全運転のコツなどをドアに描いた教習車両を活用するなど教習生のみならず多くの運転者に対して交通安全意識の高揚を図り、地域における交通安全教育センターとして交通事故防止に多大な貢献をされた」ということで、滋賀県警察本部の交通部長から感謝状が授与されたそうです。
「学べる教習車」は、珍しく目を引く見た目ですが、初心を思い出させ、安全運転を推奨するために大切な役割を果たしているのです。
また、このような個性的な教習車を導入している教習所は、月の輪自動車学校以外にも全国に何件か見受けられます。
例えば、静岡県富士宮市にある富士宮自動車学校では、オリジナルアニメキャラクターの「みやちゃん」をプリントしたクルマを使用しており、「痛車のようだ」と話題になりました。
他にも、佐賀県大町町の大町自動車学校は初音ミクが大きくプリントされた教習車を導入しています。