トヨタ「JPN TAXI」は2017年にデビューしたタクシーです。そんなジャパンタクシーですが、個人での購入は可能なのでしょうか。
■ジャパンタクシーは個人所有でも買えます!
トヨタは約20年ぶりに新型のタクシー車両として、2017年に「JPN TAXI(ジャパンタクシー)」を市場に導入しました。
ジャパンタクシーは、それまで使われていた「クラウンコンフォート」の後継車にあたり、背の高いイギリス・ロンドンのタクシーをモチーフにしつつも、日本らしさを取り入れたデザインが特徴的です。
2020年の東京オリンピックに向けて次世代タクシーとして開発されたもので、キャッチコピーとして「次の日本に、いらっしゃいませ。」を採用。
いまでは都市部を中心に多く導入されており、クラウンコンフォートに置き換わるタクシーとなっています。
ジャパンタクシーの開発では、タクシー業界からのフィードバックが反映されており、特にタクシードライバーからの意見が取り入れられたといいます。
ベースとなったのはトヨタのコンパクトミニバン「シエンタ」。その結果、従来のセダンタイプのタクシーに比べて乗り心地と室内空間が大きく改善されました。
車両の寸法は長さ4400mm×幅1695mm×高さ1750mmで、特に後部座席のドアはシエンタよりも広く設計。電動スライドドアが採用されており、乗客の乗降が容易なことも特徴のひとつです。
この車両には、耐久性を高めるための専用設計のサスペンションが装備されており、メンテナンスや修理のコストを抑えるための工夫も施され、交換可能な3分割バンパーなども搭載されました。
また、燃費は16.8km/L(WLTCモード)で、従来のセダンタイプのタクシーに比べて大幅に改善されています。
発売から約7年が経過した現在、首都圏では多くのジャパンタクシーが走っており、多くのシェアを獲得していることがわかりますが、一方、地方ではクラウンコンフォートがまだ活躍しており、セダン型タクシーの需要も残っています。
そんなジャパンタクシーですが、個人での購入は可能なのでしょうか。
トヨタ販売店の担当者は、次のように話します。
「ジャパンタクシーを個人利用でご購入いただくことは可能です。
一方で、一般的なクルマとしてジャパンタクシーを利用するのは難しい点があります。
タクシーということからLPガスを使用したクルマなので、燃料を補給する場所が限られているという点です。
東京都内であれば、いくつかのスタンドがありますが、それでも数には限りがあります。
通常のガソリンスタンドで給油するのとは訳が違うので、その点をご留意いただければと思います」
LPガスのメリットとして、ガソリンや軽油に比べて安価なことが挙げられます。走行距離が長いタクシーでは燃料コストの削減効果は大きいです。
さらに、二酸化炭素や窒素酸化物(NOx)の排出量も少なく、環境にも優しい点もポイントですが、やはり燃料を補給できる場所が少ないのは一般ユーザーにはデメリットとなりそうです。
また、別のトヨタ販売店担当者は次のように話します。
「過去に1人だけジャパンタクシーを個人で購入されたお客さまがいらっしゃいました。
その方は完全なプライベート利用ではなく、ショーカーとしての要素を含めての購入で、今後外装を改造されるとのことでした」
このように、ジャパンタクシーを個人で購入するのは可能ですが、LPガスを利用したクルマということから、日常的に使用するにはハードルが高いようです。
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2017年にデビューしたジャパンタクシーですが、2019年には車いすの乗降性が改善されたほか、その後もウイルスや菌の抑制に効果がある「ナノイ―X」が運転席・助手席のエアコン吹き出し口に設置されたり、抗菌仕様のシートやシートベルトが採用されるなど、アップデートが続けられています。
ちなみに、標準グレードの「和」と上級グレードの「匠」の2つの仕様が用意され、価格は336万7100円から359万2600円です。