クルマを運転していると、極端にスピードが遅いクルマに遭遇することもありますが、あまりに遅くクルマを走らせる行為は違反にならないのでしょうか。
■極端に「遅い」運転も違反になるの?
クルマを運転していると、50km/h制限の道路を10~20km/hで走るなど、極端にスピードが遅いクルマに遭遇することが時々あります。
制限速度を超えるスピードで走ると速度違反になることは知られていますが、逆に「遅すぎること」は違反にならないのでしょうか。
高速道路には、基本的に50km/hという「最低速度」が決められており、これを下回る速度で走行すると「最低速度違反」になります。
一方で、一般道路では制限速度はあるものの高速道路のように最低速度は規定されておらず、そのため遅いスピードで走行すること自体は違反とはなりません。
ただし後続車の追い越しを妨害した場合は、道路交通法第27条第1項にある「他の車両に追いつかれた車両の義務」の違反に該当します。
具体的には、『政令で定める最高速度(以下この条において「最高速度」という。)が高い車両に追いつかれたときは、その追いついた車両が当該車両の追越しを終わるまで速度を増してはならない。最高速度が同じであるか又は低い車両に追いつかれ、かつ、その追いついた車両の速度よりもおそい速度で引き続き進行しようとするときも、同様とする』と記載されており、つまり速度の遅いクルマが後続車に追いつかれた際、追い越しが完了するまで邪魔してはいけないという内容です。
そしてもしも追い越されないよう加速すると違反点数1点、6000円の反則金(普通車の場合)が科されます。
加えて、ノロノロ運転を続けて後続車両に道を譲らなかったケースでも、違反になる可能性があります。
道路交通法第27条第2項では、「車両通行帯がなく道幅の狭い道路」の場合に、追いつかれたクルマが左側に寄って、後続車に道を譲らないといけないと記されています。
よってノロノロ運転のまま道を譲らないなど、後続車の走行を妨害すると違反になり、違反点数1点、6000円の反則金(普通車の場合)になります。
さらに、ノロノロ運転とまでいかなくとも、意図的に道を譲らない場合も違反になる可能性があります。
そのためあきらかに速度の速いクルマに追いつかれた際は、不要なトラブルを回避するためにも、クルマを左側に寄せて道を譲るようにすると良いでしょう。
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このように、一般道路でのノロノロ運転は違反ではないものの、シチュエーション次第では道路交通法第27条に違反することがあります。
そもそも極端に遅い速度での走行は、スムーズな交通の妨げや事故の原因になることがあるため危険です。
運転に慣れていない人は速度を出すのが不安になるものですが、住宅街や極端に狭い道でなければ、周囲の流れに合わせた法定速度での走行を心がけた方が無難です。