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900万円超えも! 日産「新型“爆速”SUV」発表! SUV×超静音モデルになぜ「NISMO」必要だった? 技術“最上級”の「アリア NISMO」存在意義とは

くるまのニュース 2024年3月8日 14時30分

2024年3月8日、日産は新型「アリア NISMO(ニスモ)」を発表しました。なぜ”BEV(バッテリーEV)”であり、”SUV”である「アリア」にハイパフォーマンスグレードである”NISMO”を導入するのでしょうか。担当者に聞いてみました。

■900万円超え! 新型「アリア NISMO」誕生

 2024年3月8日、日産は同年1月にも公開していた新型「アリア NISMO(ニスモ)」を発表しました。

 正式な発売は6月を予定していますが、なぜ”BEV(バッテリーEV)”であり、”SUV”である「アリア」にハイパフォーマンスグレードである”NISMO”を導入するのでしょうか。

 アリアは、2019年に公開された「ニッサン アリア コンセプト」を源流とし、2021年に予約受付が開始された日産初のSUVのBEV(バッテリーEV)です。

 2022年には一時受注停止となっていましたが、今回の新型アリア NISMOの発表とともに、受注を再開しています(正式発売は3月下旬)。

 日産が“風格と電撃のクロスオーバー”と表現する新型アリア NISMOは、電動駆動4輪制御システム「e-4ORCE(イーフォース)」搭載モデルに、NISMO専用の加速チューニングを施し、同車の持つ圧倒的な動力性能をさらに引き上げた、“EV NISMO”のフラグシップモデル。

 NISMOシリーズの性能コンセプトである「より速く、気持ち良く、安心して走れる車」に基づき、高い安定性と軽快さを実現し、走りの上質感を磨き上げたモデルとなっています。

 アリアの上位グレードとなる「B9 e-4ORCE」をベースとしたモデルでは、最高出力を320kW(435PS)まで向上させ(B6ベースでは394PS)、NISMO専用の加速チューニングを施したことにより、気持ちの良いパワフルな加速を実現。

 また、NISMOドライビングモードでは、レスポンスを最大化しており、アクセルを踏み込んだ時に、俊敏な加速を実感できるようになっています。

 さらに、e-4ORCEを NISMO専用にチューニングした 「NISMO tuned e-4ORCE」を採用し、様々なシチュエーションにおいて高いトラクション性能を誇り、電動車ならではの爽快な旋回加速を実現。ワインディングなどにおいても、スポーツカーのように高いライントレースや思い通りのコーナリングを可能としました。

 幅広い温度域において安定した性能を維持するブレーキパッドや、素材から内部構造に至るまでこだわり抜いた新型アリア NISMO専用開発のタイヤ、リム幅のワイド化と軽量を両立しながら空力性能にも貢献するデザインのホイールも採用。

 あわせて足回りについても、前後のサスペンションやスタビライザーに専用のチューニングを施し、スポーティでありながらも、EVらしい滑らかで上質な走りを実現しています。

 エクステリアは、アリアの上質さと、空力性能を向上させるNISMOらしいダイナミックなパフォーマンス感を体現。NISMO専用バンパー、リアスポイラー、ドア・サイドモールを採用し、洗練されたスタイリングながら、空気抵抗の低減とダウンフォースの向上を高い次元で両立しています。

 インテリアは、黒基調の中にスパイスの効いたレッドアクセントを配し、上質でスポーティな空間としています。

 スポーツ走行に合わせてホールド性、姿勢保持性、フィット感を高めた専用シートを採用し、車両との一体感を感じられる仕様となっています。

 また、NISMO専用BOSE Premium Sound System装着車ではNISMOモードをオンにすると、フォーミュラEマシンに乗り込んだような高揚感あるEVサウンドが楽しめます。

 ボディカラーは、NISMO ステルスグレーを基調とした2 トーンをはじめとする、全6 色をラインアップ。価格は、B6ベースのNISMO B6 e-4ORCEが842万9300円から、B9ベースのNISMO B9 e-4ORCEが944万1300円です。

■どうしてアリアに”NISMO”を追加したのか

「GT-R NISMO」や「スカイライン NISMO」などハイパフォーマンスなスポーツカーのイメージが強いNISMOシリーズ。アリアのような“BEV”かつ“SUV”となると一見縁遠いようにも思えます。

 ではなぜ、今回そんなアリアにNISMOモデルが設けられたのでしょうか。

なぜ「アリア NISMO」が必要だったのか

 この理由について、日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社 カスタマイズ事業部ニスモ商品・戦略企画部でチーフプロダクトスペシャリストを務める饗庭(あいば)貴博氏は以下のように説明します。

「“BEV”かつ“SUV”のNISMOである新型アリア NISMOはNISSAN圏に新しいカスタマーをもたらす商品カテゴリーとなります。

 日産が好きなユーザーとニスモが好きなユーザーは全体の22%ほど重なっていますが、25%はニスモのみが好きなユーザーであり、現在の日産に興味を示していないユーザーです。

 この“ニスモのみが好きなユーザー”は、現在輸入車の高級SUVなどに乗っており、日産車に興味を示しておりません。そしてこのユーザーたちが次の車として検討しているのが“BEV”かつ“SUV”であることが調査の結果明らかになりました」

 このような事実が明らかになったからこそ、そんなステータスを持つアリアに、NISMOモデルを設けることでなったといいますが、ニスモといえば日産のハイパフォーマンスモデル…“ニスモのみが好きなユーザー”とはどのようなプロセスで誕生したユーザーのことを指すのでしょうか。

 この点について饗庭氏は以下のようにコメントしています。

「我々としても、同ユーザーが誕生したプロセスについて完全に把握しているわけではありません。しかし、昔のスポーティな日産車…スカイラインGT-R(R32型)などが好きだったユーザーなどが、現在の日産車には興味が持てず、ニスモに対する好意だけが残ったのだと推察しています」

 日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社では、新型アリア NISMOのターゲットカスタマーについて、40代後半・既婚(子どもなし)・年収1300万円以上・ビジネスオーナーと定めています。

 このようなユーザーは、現在輸入SUVを所有していることが多いと同社は説明しますが、新型アリア NISMOでこのようなユーザーを、実際に輸入SUVから乗り換え検討させるのでしょうか。

 この点について饗庭氏は「耐久性や日々の使い勝手」と説明します。これまで「リーフ」などで培ってきたBEVに対する知見が豊富な日産が送り出したアリアは、この点で多くの優位性を誇るのでしょう。

 1000万円近い高価な新型アリア NISMOですが、想定するターゲット層に対しては、しっかり“はまるクルマ”となっているかもしれません。ちなみに月販目標台数などは明かせないとのことですが、NISMOシリーズの販売台数は、ベース車の10%ほどが平均となるようで、新型アリア NISMOの台数もこれに準拠する形になる可能性が高いでしょう。

 蛇足ですが、全体の22%ほどと記載した「日産が好きで、かつニスモが好きなユーザー」が次のクルマとして検討しているのは、“セダン”だったとのこと。このユーザーに向けてはスカイライン NISMOを仕掛けたようです。

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