1967年に登場したマツダ「コスモスポーツ」は、日本で初めてロータリーエンジンを搭載した市販車ですが、そんなコスモスポーツを現代に蘇らせたらどうなるか、というコンセプトで作られた「コスモ21」というクルマがありました。どのようなモデルなのでしょうか。
■300万円で売る予定もあった? マツダ「コスモ21」とは
1967年に登場したマツダ「コスモスポーツ」は、日本で初めてロータリーエンジンを搭載した市販車であり、その後は「コスモAP」、「コスモ」、「ユーノス コスモ」と時代と共に姿を変えつつ、1996年まで販売が続けられたマツダを代表する車種のひとつです。
残念ながら現在はその名前が途絶えたままとなっていますが、2002年に開催された東京オートサロンにて、マツダスピード名義で「コスモ21」なるコンセプトモデルが展示されたことがありました。
このコスモ21は、初代コスモスポーツを現代に蘇らせたらどうなるか、というコンセプトで制作されており、カバー付きの丸型ヘッドライトや上下分割式のテールランプ、サイドの特徴的なプレスラインなど、コスモスポーツの意匠を取り入れながらメッキ部分を減らすなど現代的にアップデートされています。
またノーズ先端には、当時のマツダのエンブレムと筆記体で書かれた「Cosmo21」のエンブレムが備わっており、フェンダー後方に備えられたミラーなど、コスモスポーツの特徴的な部分はそのままとなっているのもニクイ演出と言えるでしょう。
そんなコスモ21は、当時新車で販売されていた2代目ロードスターをベースに、マツダ産業(現マツダE&T)が制作を担当。よくみるとフロントウインドウやドアの形状に、ロードスターの面影を見て取ることができます。
また、オープンカーのロードスターに対してコスモ21はクローズドボディのクーペスタイルとなっていますが、リアウインドウはロードスター用のハードトップのウインドウを思わせる形状となっており、もともとオープンカーにハードトップを被せたようなスタイルのコスモスポーツとの親和性も高いデザインとなっていました。
一方のインテリアはダッシュボードやドアトリムなどの形状がロードスターベースであることを感じさせるものとなっていますが、ドアトリムやカーペットにはダイヤキルトをあしらったほか、ヘッドレスト付きのローバックシートにはコスモスポーツと同じ千鳥格子模様を採用するなど、こちらも現代版コスモスポーツであることを感じさせるもの。
そして心臓部には、コスモを名乗るモデルとして当然のロータリーエンジンを搭載。このエンジンは翌年にデビューを控えていたRX-8にも搭載された次世代ロータリーエンジンのRENESISで、NA2ローターながら250PSを発生させるものとアナウンスされていました。
このコスモ21、当時は反響次第で市販化の可能性も大いにあると言われており、台数限定で300万円台の価格で販売されるといった現実的な話もありましたが、結局市販化には至らず、コスモの名前の復活は幻に終わってしまったのは残念としか言いようがありません。