千葉から都心方面への通勤アクセスを担うJR京葉線」がダイヤ改正で利便性に不安が残るなか、将来的には「自動車通勤」も現実的な選択肢になってくるかもしれません。そこで、新たな高速道路の計画が進行中です。
■千葉から都心へ「クルマ通勤」今は大変だけど…
千葉から都心方面への通勤アクセスを担うのが「JR京葉線」です。
しかし、ダイヤ改正で利便性に不安が残るなか、将来的には「自動車通勤」も現実的な選択肢になってくるかもしれません。
その通勤ルートとなりそうな「新しい千葉~東京間の高速道路」の計画が進んでいます。どんなルートで、どこまで話が進んでいるのでしょうか。
JR京葉線は蘇我駅から臨海部を経由して東京駅へ直結する、43kmの路線です。一部列車は外房線や内房線からも直通し、千葉県民の都心方面の足を担っています。
かつては「通勤快速」という、ものすごい数の駅を通過する列車種別があり、京葉線内では蘇我を出ると、途中16駅中14駅を通過するという驚異的な俊足でした。
しかし、通勤快速は2024年3月に廃止。残った快速も大幅減便となりましたが、沿線住民や自治体の抗議を受けるなどして9月に再び快速の本数を一部戻すなど、混乱が続いています。
これを受けて、市原や木更津、富津といったエリアからは「アクアライン経由でバス通勤に切り替える」といった声も聞かれますが、いっぽうで千葉市内や習志野市など、東京に近い臨海部では、「東関東道に乗ってクルマ通勤にする」という声はなかなか聞こえてきません。
これはひとえに「東関東道~湾岸線・外環道」が常に渋滞しているという背景があります。特に、無料の側道である「国道357号」は、若松や栄町をはじめ主要交差点を中心に、なかなか通過できないノロノロ状態が日常茶飯事となっています。
■千葉~東京の道路が「渋滞知らず」になる日も!?
このようにパンク状態になっている千葉~東京の道路ですが、渋滞緩和に向けた大小の計画が進行中です。
●国道357号の立体交差化●
渋滞する交差点を中心に、国道357号を大部分で立体交差化する事業が進んでいます。
千葉駅付近ではアンダーパストンネルが完成済み。検見川では東関東道のスマートIC設置と同時に、国道14号分岐部を含む区間の立体交差事業が始まろうとしています。
船橋市内では立体化のかわりに「片側3車線」工事を実施中。市川市内では「塩浜立体」、浦安市内では「舞浜立体」、東京都江東区内では「辰巳・東雲・有明立体」が進行中です。
千葉市内でも、蘇我地区でも最大6車線の拡幅事業が進行中です。
しかし、これらはいまだ未整備の部分をピンポイントで整備するのみで、京葉間の抜本的な渋滞緩和につながるには厳しそうです。そこで、よりスケールの大きい計画が始動に向かっています。
「新湾岸道路」計画
ついに計画具体化に向けて動き出したのが、臨海部に新たに高速道路を建設する「新湾岸道路」計画です。
先行して進められるのは、館山道・市原ICもしくは京葉道・蘇我ICあたりから、東関東道・首都高湾岸線・外環道の高谷JCTへ接続する、千葉県内の区間です。
もしこれが開通すれば、単純に京葉間の高速道路の総車線数が倍近くに拡充され、キャパが大幅に大きくなります。
千葉市南部から都心に向かうクルマは、やや迂回する京葉道路でぐるっと走る必要がありましたが、無駄のないルートで幕張・船橋を経て、高谷JCTに向かうことができます。
長らく「夢物語」と思われていた構想ですが、2024年3月、いよいよ「概略ルート」を決める段階に一歩を踏み出しました。
約2段階の「計画段階評価」で概略ルートが決まれば、「都市計画決定」「環境アセスメント」の手続きが進められます。完了すればいよいよ事業化の判断を待つのみとなります。
もちろん、都心臨海部へクルマ通勤する人にとっては、高谷JCTから先の湾岸線(や小松川線)の大渋滞を何とかしてほしいと思うかもしれません。それでも、とりあえず「千葉脱出」まではかなり快適になるでしょう。
ちなみに、高谷JCTから先にも、中央防波堤(令和島)を経由して羽田空港付近まで直結する”2期区間”の構想があります。こちらは、市原~高谷JCTの先行区間が一段落してからの話になっていきそうです。