数あるスバルSUVのなかで、なかでも手頃なサイズとクロスオーバースタイルで人気なのが「クロストレック」です。「一番安全なクルマ」として女性オーナーも支持されるといいますが、どのようなところが魅力なのでしょうか。
■扱いやすさと走破性と安全性を両立
AWD(四輪駆動)性能に定評があるスバルは、さまざまなSUVをラインナップしています。
そのなかでも、OEM車を除いて、もっともコンパクトなモデルが「クロストレック」です。
もともとは、5ドアハッチバックの「インプレッサ」のSUV版として登場。当初は「XV」という車名で販売されていたのですが、2022年のフルモデルチェンジを機に、海外名のクロストレックへとグローバルで統一されました。
車名は変わったものの、コンパクトで扱いやすいクロスオーバーSUVという特徴はXVから継承しています。
よりワイルドになった外観に、最近のスバル車に採用される、大型センターディスプレイを備えた先進的な内装など、これまで以上に魅力あるスタイリングに刷新。
2リッター水平対向エンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドの「e-BOXER」を搭載し、モーターアシストの軽快な走りが楽しめます。
駆動方式はAWDに加え、新たに2WD(FF)も設定し、幅広いユーザーのニーズに応える仕様となりました。
運転支援システム「アイサイト」は、従来のステレオカメラに広角単眼カメラを追加した“3眼”へと進化。
高速道路でさらなる高度な支援をおこなう「アイサイトX」は搭載されないものの、3つのカメラで車両の周辺状況を検知し、アイサイト史上最高の安全性を誇ると言います。
■「一番安全なクルマ」としてクロストレックをチョイス
四駆がウリのスバル車は、北国や積雪地域など、路面凍結の恐れがある過酷な環境で運転する人から支持されています。
実際のクロストレックのユーザーに話を聞いてみました。
北海道在住のWさん(40代女性)は、「予算的に収まるなかで一番安全なクルマは何?」と友人・知人に相談して、最終的にクロストレックを選んだそうです。
Wさんが住んでいる地域は積雪量こそ多くありませんが、冬になると気温がマイナス15度になることもしばしば。路面は常にカチカチに凍った状態だといいます。
「北海道での移動は、札幌以外は公共交通機関が少なく、クルマがメインです。通勤はもちろん、ちょっとした買い物でもクルマを利用しますし、一度に100km程度は普通に走ります。
そして冬は気温も氷点下で雪も降り、路面も凍結するという厳しい環境です。
そんな道内で安全に走行するためには4WDであること、安全装備が充実していること、道は広いのですが扱いやすいサイズが好ましいことを考慮した結果、クロストレックを愛車に選びました」
長きにわたってスバルが培ってきた4WD(AWD)技術は、日常的に悪路を走る人にとって欠かせない機能となっているようです。
また一度の走行距離が長いことから、直進安定性や緊急時の安全性も確保しておきたいとなると、スバル車が全般的に人気なのも納得できます。
「クロストレックはSUVといえども背が低めなのもポイントでした。
あまり背が高すぎると、強い風が吹きやすい北海道では横風を受けて危険です。その点、クロストレックはセダンやハッチバック感覚で乗れるのも助かります」
Wさんは小柄な女性ということもあるのか、大きなクルマは取り回しにくいと感じるようで、フラッグシップSUVの「レガシィ アウトバック」や本格SUVの「フォレスター」は扱いにくいという印象があったそう。
逆に言えば、女性でもサイズ感がつかみやすく、スポーティすぎないクロストレックは、悪路も走れるハッチバックという感覚で乗れるのが魅力のようです。
「あまりクルマに詳しくはないのですが、ほかのクルマに比べて後部座席が狭かったり、ラゲッジスペースも大きくないのですが、そのぶん後退もしやすかったり、重さを感じることもありません。
扱いやすいクロストレックは、私のような初心者からベテランドライバーにまでお勧めできると思います」
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フォレスターのような本格派ではなく、ステーションワゴンの「レヴォーグ」のようなスポーティさはないものの、クロストレックにはスバルならではの優れたAWD性能や、最高レベルの「アイサイト」も標準搭載されています。
3ナンバーとはいえ背が高すぎない1550mmという全高は、機械式駐車場にも収まる絶妙なサイズですし、それでいて最低地上高は余裕の200mmを確保。
よく考えてみたら、北国だけでなく、非降雪地域でも近年はゲリラ豪雨などのときはAWDのほうが安心感があります。
全国のドライバーが「あったらいいな」という装備がクロストレックにはフル搭載されており、完成度が高いSUVであることは間違いなさそうです。