日本を代表するモデルであるトヨタ「カローラ」。現行型は2018年に登場しており、そろそろ次期型の登場も期待したい時期に。果たして新型カローラはどのようなクルマになるのでしょうか。
■電動化の波は避けられないが「コストアップ」はどうする!?
世界累計販売台数はなんと5000万台。34秒に1台が売れている(トヨタ調べ:1966年11月の初代カローラ発売から2021年7月までの累計秒数をもとに計算)という、まさに日本を代表するモデルであるトヨタ「カローラ」。
世界150カ国以上で販売されているカローラは、セダンやワゴンのほか、ハッチバック、SUVと、多種多様な形で販売されてきました。国によっては車幅を拡げるなどの応用もしながら、50年以上にわたって愛され続けています。
そんなカローラも、2018年のデビュー(カローラスポーツ)から早や6年が経っており、そろそろ次期型のウワサが聞こえてもよい頃。カローラは次期型でどのようなモデルとなるのか、予想してみました。
2024年1月から5月の登録車台数ランキングの1位はカローラでした。
カローラの登録車台数はカローラ(セダン)、「カローラスポーツ」「GRカローラ」(ハッチバック)、「カローラツーリング」(ワゴン)、「カローラクロス」(SUV)の5車種に加えて、継続販売されている先代の「カローラアクシオ」(セダン)と「カローラフィールダー」(ワゴン)の2車種を加えた7タイプの合算値ですが、合計台数だとしても、これほどの台数が売れ続けているのは凄いことです。
そんなカローラの次期型モデルにおいて一番の関心事は、やはりパワートレインでしょう。
現行カローラにもハイブリッド車は用意されていますが、プリウスやアクアのように全グレードがハイブリッドになるのかが注目ポイント。
しかしハイブリッド化の最大の関門は、価格上昇です。既存のハイブリッド技術(THS II)を搭載すると、ガソリン車に対しておおよそ30~40万円は価格がアップしてしまいます。
安いガソリンモデルなら200万円程(アクシオやフィールダーは160万円から)で購入できるカローラにとって、全グレードがこの価格アップを許容できるとは思えず、また様々な国で販売されるカローラは、すべてがEV(電気自動車)になるのも現実的ではありません。
そこで考えられるのが、次世代エンジンです。
■次期「カローラ」は電動化時代をより強く意識したパワートレイン展開に
2024年5月27日に行われた「マルチパスウェイ」を目的としたスバル、マツダとの共同の技術説明会でトヨタは、新型の直列4気筒エンジンを初公開しました。
電動化時代のエンジンの使われ方を想定し、従来のハイブリッドよりも電気リッチ(バッテリー駆動が主、エンジンがサポート)となることを前提にエンジンを改良したといい、これによってエンジンは高トルクの発生や高回転まで回すことが不要となり、エンジン全体のコンパクト化と嵩(かさ)の低減に成功したとのこと。
体積減少や回転域を狭めたことで、エンジンパーツ削減によるコストダウンも狙えます。
また新エンジンは水素や合成燃料などの活用にも対応できるといい、早ければ2026年から2027年にも開発にめどがつけられるとトヨタは説明しています。
グローバルで様々な変化をとりいれて進化するカローラにとって、新型エンジンはグローバルに拡販するにはベストなパワートレインとなると思われます。
筆者(自動車ジャーナリスト 吉川 賢一)は期待を込めて、次期カローラにはこの次世代電動パワーユニットが全車搭載となり、バッテリー搭載量を減らした廉価モデル(既存のハイブリッドに近い)から、バッテリー搭載量を増やした上級モデル(既存のPHEV:プラグインハイブリッドに近い)まで、電動走行ができる距離に差をつけたラインアップが用意されると予測しています。
また現行カローラでは、王道のセダンやワゴンのほかに、全幅1790mmまで拡幅したカローラスポーツ、シリーズ初のSUVとなったカローラクロス、300馬力オーバーのエンジンを積んだGRカローラなど、想像を超えた変化をしてきました。
ひょっとすると次期カローラシリーズでは、かつて存在した「カローラスパシオ」のような3列シートのコンパクトなミニバンタイプが再び登場するかもしれませんね。
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トヨタは2023年度決算発表で、営業利益5兆円超えを達成したと発表しました。
日本の上場企業では初めてのことであり、ハイブリッド車を中心に販売好調であることや、円安により利益が押し上げられたことなどが主な要因だと考えられます。
しかしトヨタがこれまで「良いクルマ」を数多く開発してきた積み重ねによるものであることは間違いありません。
そんなトヨタを代表するモデルであるカローラの次期モデルでは、どんなサプライズを見せてくれるのか、今後が非常に楽しみです。