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「知らないとヤバい…免許返すべき?」 道路にある「謎の斜線ゾーン」通って良い? どんな意味ある? 元警察官が解説

くるまのニュース 2024年7月5日 9時10分

道路上には停止線やひし形マークなどさまざまな道路標示があり、右折レーンの手前や比較的大きな交差点内などには、ときどき「ゼブラゾーン(導流帯)」と呼ばれる道路標示がみられます。

■SNSでは「ゼブラゾーン」上を走行「する派・しない派」で意見が分かれた!

 右折レーンの手前などには、ときどき「ゼブラゾーン」と呼ばれる道路標示があります。

 SNSではゼブラゾーン上を走行しても良いか否かで議論になることもありますが、一体どちらが正しいのでしょうか。

 道路上には停止線やひし形マークなどさまざまな道路標示があり、それらを確認することで注意すべき場所や交通規制、進行方向などが分かるようになっています。

 特に右折レーンの手前や比較的大きな交差点内などには、ときどき「ゼブラゾーン(導流帯)」と呼ばれる道路標示がみられます。

 ゼブラゾーンは白色の枠線の内側に白色の斜線が入った道路標示ですが、ドライバーの間ではたびたび「ゼブラゾーンの上を走行しても良いかどうか」で意見が分かれます。

 SNS上においては「いつもゼブラゾーンを踏んで右折レーンに入っている」という意見が複数聞かれた一方、「自動車学校では(ゼブラゾーンを)基本走るなって教えられた」などの声も寄せられました。

 では、ゼブラゾーンの上を走っても良いのでしょうか。
 そもそもゼブラゾーンは「車両の安全かつ円滑な走行を誘導する」という目的で、次のような場所に設置されます。

ーーー
・交差点が広すぎるため、交差点を通行する車両の走行位置が不安定になる道路
・交差点が変形または複雑な形状の道路
・車線数が減少する道路
・その他道路の形状や交通の状況から、誘導が必要と認められる道路
ーーー

 上記のような道路においてはドライバーが走行位置に迷ってしまい、交通渋滞や交通事故を引き起こすおそれがあるため、ゼブラゾーンを設置して車両を上手く誘導する仕組みになっています。

 実は法律上、このゼブラゾーンへの進入は禁止されておらず、ゼブラゾーン上を走行したとしても交通違反には当たりません。

 しかし車両を安全・円滑に誘導するという性質上、警察や自動車教習所などの指導ではゼブラゾーンの走行が推奨されていないのも事実です。

 その理由としては、ゼブラゾーン上を走行したり停車したりすることで標示が見えにくくなるほか、道路の見通しが悪くなって事故を誘発する危険があることが挙げられます。

 また、自動車のドライバーや歩行者が守るべき交通ルール・マナーの手引きである「交通の方法に関する教則」においても、ゼブラゾーンについて次のように説明しています。

「車の通行を安全で円滑に誘導するため、車が通らないようにしている道路の部分であること」

 つまり、基本的にゼブラゾーンは車両の走行を想定した場所ではなく、通行しないほうが良いといえるでしょう。

■ゼブラゾーンを走行している際に事故を起こすと…? どうなる?

 加えて、ゼブラゾーンを走行している際に事故を起こすと事故の過失割合が大きくなる可能性もあります。

 たとえば右折レーンの手前にゼブラゾーンがある道路において、ゼブラゾーン上を直進してきたクルマと、その前方で右折レーンに車線変更しようとしたクルマが接触事故を起こしたとします。

 この場合、基本的な過失割合は直進車が30%、車線変更をしたクルマが70%であるものの、直進車がゼブラゾーンを走行していたことを考慮して直進車の過失割合が10~20%加算されるケースがあり、注意が必要です。

 そのほか、ドライバーの中にはゼブラゾーンを「立入り禁止部分」や「停止禁止部分」など他の道路標示と混同する人がいます。

 立入り禁止部分はゼブラゾーンを黄色の枠線で囲ったような標示であり車線数が減少する場所などに設置されますが、この部分では通行も停車もできません。

主に消防署や警察署などの出入口付近に設置される「停止禁止部分」

 また停止禁止部分は白枠の長方形の内側に白色の斜線が入った標示であり、主に消防署や警察署などの出入口付近に設置されます。

 これは救急車やパトカーなどの緊急自動車がスムーズに出動できるよう一般車両の停車を禁止するもので、通行は可能です。

 これらは似た道路標示であるため、それぞれの特徴を覚えておきましょう。

※ ※ ※

 過去にはゼブラゾーンの上に駐停車していた車両への追突死亡事故や、追突を避けようとしたバイクが転倒して後続車両に轢かれ、亡くなる事故などが発生しています。

 道路交通法上はゼブラゾーンへの駐停車も明確に禁止されていませんが、事故を誘発するおそれがあり控えるべきといえるでしょう。

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