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なぜキャンプ場で「車中泊」お断り? オートキャンプとの違いは? 利用者トラブルは減った? 現状いかに

くるまのニュース 2024年7月20日 9時10分

ここ数年、コロナ禍から現在まで「車中泊」という新たなブームが存在しています。自動車メーカーも車中泊を意識した仕様やアイテムを展開するほか、各地に車中泊専用施設も出来ています。一方で利用者トラブルも目立っていましたが、現在ではどうなっているのでしょうか。

■実はビギナーに多い?! 車中泊トラブルの原因は実はいろいろ

 2024年も夏のレジャーシーズンが到来し、全国各地にクルマで出かける計画をしている人が多いのではないでしょうか。

 かつては、“車中泊をする”という特別な響きがありましたが、最近は愛車を自作で車中泊仕様にする人も増えています。

 欧米ほどではないにせよ、日本でも車中泊をしながら旅をすることが定着しつつあるようです。

 こうした傾向が強まってくると、一緒についてくるのがトラブル。数年前から巷では車中泊のトラブルがSNSなどで報告されるようになり、地域によってはゴミ問題などが社会問題になっているケースもあるようです。

 筆者もつい最近、10日間ほど車中泊の旅をしてきました。そこで気がついたのは、車中泊に慣れている人とそうでない人の意識の違い。これにより、様々なトラブルが引き起こされてしまっている気がします。

 経験の少ない人は、車中泊に関するきちんとした知識が少ないように見受けられます。

「車中泊=オートキャンプ」という大きな誤解をしているようなのです。かつて日本RV協会のスタッフも同じようなことを言っています。

 例えば、キャンピングカーユーザーや車中泊エキスパートは、高速道路上のSA/PA、道の駅など公共施設で、キャンプ行為をすることはまずありません。

 駐車場内でキャンプ用品、チェアやテーブルなどを出すという行為はせず、食事も車内で済ませます。それが、車中泊のエチケットだと知っているからです。

 もちろん車中泊黎明期には、道の駅でサイドオーニングを展開し、BBQコンロを出してオートキャンプをするユーザーに出会ったことが何度もありました。

 大音量で音楽をかけて、犬をノーリードで場内を歩かせるなどといったシーンも、10年ほど前にかなり見かけたものです。

 しかし、こうした行為も日本RV協会などの長年の啓蒙活動によって、大幅に減ったように思えます。

 日本RV協会公認の車中泊施設「RVパーク」の拡大も、こうした迷惑キャンパーの減少に寄与していると言えるでしょう。関東にあるRVパークの責任者に聞いてみました。

「RVパークに来る人は基本的にキャンピングカーユーザーなので、他人の迷惑を顧みない人はほとんどいません。

 それにRVパークの多くが、オートキャンプ場と同じようにサイドオーニングやテーブル、チェアの城内での使用を認めています。

 むしろ、キャンピングカーユーザー以外の人にも使ってもらいですよ」

 一方、オートキャンプ場でも、車中泊派の迷惑行為はあるようです。

 クルマのオーディオを使って大きな音を出したり、夜半にドアの開閉で大きな音を出す人がかなりいるんだとか。

 また、必要以上に明るい照明器具をサイトで使う人も。静寂を楽しむのがキャンプの醍醐味ですので、こうした行為を迷惑に感じるのも仕方がないところです。

 山梨県にあるオートキャンプ場は、“オート”と謳っているのに車中泊を禁止しており、その原因は音だと言い、キャンプ場オーナーは次のように語っていました。

「クルマで来て、車内でお手軽に寝泊まりしてしまうグループは、キャンプのマナーを知らないことが多いです。

 夜は話し声さえ抑えるのがキャンパーですが、車中泊をする人はトイレに行く時にドアをバタンバタンと閉めるので、他の人からうるさいという苦情が来るんです。

 ですので、ウチではテントを使わないない人はお断りしています」

 ちなみに筆者は、トイレのある施設でも夜は音を出さないようにするために、携帯トイレを使っています。

 これなら、いつでも気兼ねなく用を足すことができるからです。車中泊の常連なら、こうした工夫をして他人に気遣いしている人も多いのではないでしょうか。

 最近道の駅などでは、車中泊をする人に向けてRVパークに利用を勧める告知などを見かけます。

■実際のユーザーはどう思ってる? いまある課題とは?

 ですが、RVパークでキャンピングカーユーザー以外の利用者を見かけることはほぼありません。RVパークで出会ったキャンパーに、その辺の事情を聞いてみました。

「RVパークは、一般のクルマユーザーへの認知度がまだ低いんだと思います。

 道の駅なら大きな看板が出ていますが、RVパークは専用のサイトやアプリを見ないと場所が分かりません。

 それに、2500円から3500円ほどの料金が取られるわりに、ロケーションがイマイチな施設が多いのも、一般ウケしない理由な気がします。

 キャンピングカーユーザーは、電源設備の使用やトイレ処理ができるのでRVパークを使いますが、ミニバンとかで来た人はいかにも空き地の活用的な駐車場の住みで過ごそうという気持ちにならないのも分かります。

 地方に行けば、夜間は道の駅も空いていますし、公園などの駐車場も無料で24時間開放されていることがほとんどです。

 マナーをきちんと守れば、そちらのほうが快適な場合があります」

最近では各メーカーからも純正アクセサリーとして、車中泊やアウトドアを楽しむアイテムも出ている(画像はトヨタ・シエンタ)

※ ※ ※

 加えて、会員でないと使えない施設があったり、犬連れの利用がNGな施設があるのも、一般ユーザーの利用が少ない理由なのではないかと、この利用者は言います。

 夏休みに入ると、道の駅やSA/PAも大変な混雑になりそうです。クルマの旅の醍醐味は、やはり条件に縛られない自由さ。それを謳歌するためにも、それぞれがお互いに気遣いをすることが大切です。

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