年々右肩上がりとなっていキャンピングカー市場において購入検討している人もいるかもしれません。では、キャンピングカーのトイレはどのように後処理するのでしょうか。また実際にトイレを使う際の問題点なども解説していきます。
■キャンピングカーのトイレ事情とは
クルマのカテゴリーは多種多様ですが、いま勢いがあるのがキャンピングカーです。
日本でのキャンピングカーの保有台数は、2011年に日本RV協会が統計を取り始めてからずっと右肩上がりで、2023年には15万台を越えました。
その販売総額は、中古車を含めると1千億円を超える規模。
日本の自動車市場全体を考えればまだまだですが、特殊用途なクルマだけに、その成長ぶりには注目が集まっています。
キャンピングカーと言えば、給排水設備やコンロなどを備えているのが一般的で、高額モデルになるとトイレまで装備されています。
国産であればキャブコンバージョン(キャブコン)やバスコンバージョン(バスコン)といったカテゴリーで、輸入車だとフィアット「デュカト」ベースの大型バンコンバージョン(バンコン)にも装備されていることが多くなっています。
高齢者や小さい子どものいるファミリーなどには重宝しますが、一方で後始末が大変なため、付いていても使わないという人も少なくなくありません。
日本では車中泊をする場所は、道の駅や公園の駐車場、高速道路のSA/PA、そしてRVパーク(日本RV協会が運営する車中泊施設)であり、そこには大抵はトイレがあるからです。
キャンピングカーのトイレは大別すると、「ポータブルトイレ」「カセット式トイレ」「マリン式トイレ」になります。
ポータブルトイレは車外に持ち出すことができるタイプで、カセット式トイレとマリン式トイレは車内常設となります。
また、ポータブルトイレとカセット式トイレは汚物を入れた容器を持ち運んで処理することができますが、マリン式トイレは専用施設(ダンプステーション)がないと処理できません。
ダンプステーションはRVパークの一部に設置されている場合がありますが、日本ではまだ一般的ではありません。
そのため、帰宅してからキャンピングカー販売店などにある設備で始末をすることが多いようです。
一方、他のタイプのトイレは汚物容器が持ち運べるため、公共施設のトイレで処理してしまうユーザーもいるようです。
しかし、一気に大量の汚物をトイレに流すと詰まりの原因になることから、迷惑行為として指摘されることも。
以上のような理由から、多くのキャンピングカーユーザーは車内にトイレがあっても使わないのが実情のようです。
夏場は臭いも伴うため、使うのが憚られるのではないでしょうか。
とは言え、必ずトイレに近くに駐車できるわけでもありませんし、雨や雪の時には車外に出るのは億劫です。
またオートキャンプ場では、夜のドアの開閉に気を遣うことになります。
昨今では、こうした事情に対応した商品も市場に出てきました。
例えば、最近のポータブルの中には、事後に防臭効果のある袋に汚物を閉じ込めて、後から可燃ゴミなどで処理する(自治体によって異なる)というタイプがあります。
これなら、旅の間車内にあっても気になりませんし、旅先に迷惑をかけることもありません。
小型のバンコンであっても、リアゲートに吊り下げるようなシャワーカーテンがあればプライベートで使うことができます。
ちなみに筆者は、夜間の用足しは携帯トイレで済ませるようにしています。
これも防臭&凝固剤の効果で、帰宅するまでゴミ袋で運ぶことができるので便利です。
車外で使用する時のために、女性用はポンチョ、男性用は前掛けが販売されています。
オートキャンプ場ではサイトとトイレが遠いことも珍しくないので、携帯トイレはかなり重宝します。
最近では、ドラッグストア、ホームセンター、100円ショップで入手できるので、旅の途中で買い足すことも難しくありません。
トイレやゴミ処理はクルマ旅と分けて考えることができない問題ですが、一部の道の駅ではトイレの使用、修理、ゴミ処理のために大きな予算を要するケースが増えているといいます。
車中泊の広がりが進んでいる中で、気持ちよく使わせてもらうために“汚いもの”は持ち帰るという習慣も定着させたいものです。