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ホンダ「“新型”エレメント」公開!? 「斬新“2階建て”仕様」に期待高まる! まさかの「静音モデル」実施か? 米特許の真相とは

くるまのニュース 2024年7月25日 12時30分

ホンダが米国の特許商標庁に申請した特許が、かつて販売されたクロスオーバーSUV「エレメント」に関連するものだったことから「次期エレメント登場か」とSNSなどで大きな話題を呼んでいます。はたしてどのような申請内容だったのでしょうか。

■若いアメリカ人スタッフ中心で開発された米国製「輸入ホンダ車」!?

「2024年中、あるいはここ数年のうちに、ホンダが『エレメント』の後継モデルを発表するかも…!?」
 
 いまアメリカのクルマ好きのあいだで、こんなトピックが話題となっています。きっかけとなったのは、2024年6月27日に米国で公開されたふたつの特許です。

 ホンダは2022年12月、米国・特許商標庁に2件の特許を申請しており、ひとつはキャンピングカーのアタッチメントに関するもの、もうひとつの特許は小型ピックアップの荷台部分における調整可能な仕切りに関するものでした。

 つまり車両デザインに関する内容ではないのですが、公開されたイラストはどうみてもホンダが2002年に発売したクロスオーバーハイトワゴン、エレメントを連想させるもの。

 左右ドアの形状はほぼ同一ながら、ボディサイドのプロテクターや薄型ヘッドライトなど、細部の形状は現代風にアレンジされており、これはもしかするとエレメントの復活を「匂わせて」いるのかもしれません。

 そんなエレメントとは、いったいどんなクルマだったのでしょうか。

 2001年1月に開催された北米国際自動車ショー(デトロイトショー)において、ホンダは「ジェネレーションY」と呼ばれる当時の若年層に向けたクルマとして、「モデルX」と題したコンセプトカーを発表しました。

 その市販モデルとして2002年に発売されたのが、エレメントです。

 エレメントの特徴は、多人数乗車を前提としたファミリー向けモデルではなく、ターゲットとした若年層オーナーのカーライフを充実させるパートナーとして開発された点にあります。

 車両の開発は、本田技研工業のアメリカ法人であるHonda R&D Americas, Inc.が中心となって行われました。

 ベースとなったのはSUVの「CR-V」で、エクステリアはビーチにあるライフセーバーが詰めるライフガード・ステーションをコンセプトとして設計されました。

 ボディサイズは全長4300mm×全幅1815mm×全高1790mm、ホイールベースは2575mm。

 ボリュームたっぷりな全幅や全高に対して、全長は短くスポーティな印象です。

 実際に最小回転半径は5.2mに抑えられており、車体の大きさから想像するよりずっと取り回しに優れていました。

 そしてエレメントならではの特徴が、観音開きタイプの左右ドアです。

 通常ヒンジのフロントドアに対し、リアドアは車体後方側にヒンジが設計されており、非常に大きな開口部を実現していました。

 ただしリアドアを開けるためには、まずフロントドアを先に開ける必要があるなど、後席へのアクセスよりも、ラゲッジルームとして使用した際の積載性や使い勝手を重視した設計といえるでしょう。

 この観音開きドアを採用したことにより、エレメントには左右ともBピラーが存在しません。

 そこで側面衝突に対する安全性を確保するため、左右ドア本体はピラー並みに強化され、リアドアのヒンジはフロントドアの3倍の大きさの鋳造品を採用。また側面から衝突した際にもドアが落脱しないよう、サイドシルにフックが設計されるといった工夫がなされていました。

■「SUV」に強い北米のホンダ! 次期「エレメントe:」の登場にも期待大!

 エレメントはオハイオ州のイーストリバティ工場で生産され、2002年12月より北米市場で発売を開始。翌年2003年4月には、日本市場へも「輸入販売」が開始されました。

 エンジンは2.4リッターDOHC i-VTEC「K24型」を搭載し、日本仕様は4速ATが組み合わされ、駆動方式は4WDのみというモノグレードでした。

ホンダ「エレメント」に圧倒的な解放感をもたらしていた「センターピラーレスボディ」と観音開きの「サイドアクセスドア」

 室内スペースの大きなハイトワゴンスタイルでありながら、SUVのような使い勝手の良さを両立させたエレメントでしたが、残念ながら当時の日本国内市場での販売は奮わず、2005年12月には販売を終了してしまいます。

 しかし北米市場での人気は高く、いくどかのマイナーチェンジを経て2011年まで生産・販売が行われました。

 残念ながら後継モデルが登場しなかったエレメントですが、前後バンパーや左右フェンダー、サイドシルに無塗装の樹脂素材を使用するなど、2020年代に入って人気が高まっている「ラギッド」や「タフネス」といったテイストを先駆けて取り入れたモデルといえます。

 だからこそ、今回公開された特許のイラストにクルマ好きが沸いているのですが、前述のようにクルマそのもののデザインや機能に関する内容ではありません。

 キャンピングカーやピックアップの荷台といった、むしろホンダのスポーツイメージから少し距離のあるコンテンツのようにも思えます。

 しかし北米市場におけるホンダは「HR-V」(日本名「ZR-V」)「CR-V」「パスポート」「パイロット」、そしてフルEVの「プロローグ」を加えて5種類のSUVを新車ラインナップに展開しており、さらにピックアップトラックの「リッジライン」も販売されているなど、アウトドアイメージの強いメーカーでもあります。

 なかでも床下に大きなバッテリーを搭載するフルEVのプロローグの存在は、かつてエレメントがCR-Vをベースに開発されたゆえに車高の高いクロスオーバーハイトワゴンとなり得たように、次世代の電動クロスオーバー「エレメントe:」の誕生に期待したくなります。

 今回発表された特許を採用したクルマの出現にも期待しつつ、あえて新型エレメントを匂わせるイラストを公開した真意はどこにあるのか、今後のホンダの動きに注目していきたいと思います。

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