ホンダは新型「CR-V e:FCEV」を発売しました。新たに燃料電池専用車となりましたが、通常のエンジン搭載モデルは投入されないのでしょうか。
■新型「CR-V」 燃料電池車として復活も「e:HEV」投入は?
ホンダのクロスオーバーSUVの草分け的存在として知られる「CR-V」。
日本では2022年末で終売となっていましたが、2024年7月19日に新型モデルが復活しました。
1995年に登場した初代モデルから数えると6代目となる新型CR-Vは、「e:FCEV」と名付けられた燃料電池自動車(FCEV)です。
日本の自動車メーカーが発売するモデルとしては初となる、外部からの充電も可能なプラグイン機能を持つ燃料電池自動車である点が最大の特徴といえます。
燃料電池自動車とは、水素と酸素を化学反応させて発電し、その電力でモーターを駆動させて走るものですが、それに加えて外部からの充給電も可能となっており、こちらは満充電で61km(カタログ値)の走行が可能となっています(水素充填の場合は621kmの航続距離)。
そんな新型CR-V e:FCEVは、自治体、企業、個人を問わずリース販売となるなど、一般的な車両とは販売形態が異なるモデルとなっていますが、CR-Vの需要が高い北米地域では通常のガソリンモデルなどもラインナップされているのです。
基本的なボディ形状は同一となりますが、バンパーやグリルを含むフロントマスクやテールランプのデザインが異なるため、まるで違う車種かのような印象となっています。
一方、インテリアは乗車定員5名である点は同様。
ハンドル位置が左になっている以外はそこまで大きな違いは存在しませんが、新型CR-V e:FCEVが押しボタン式の「エレクトリックギアセレクター」を採用しているのに対し、北米仕様は一般的なギアレバーが備わっているところに“お国柄”を感じさせてくれます。
荷室はリアシート下と後方に水素タンクを搭載するe:FCEVでは、上下をフレキシブルボードで分割してなんとかフラットなラゲッジを実現しています。
しかし北米仕様はタンクがないため、リアシートを畳めば深さのあるフラットで広大なラゲッジスペースにすることができる点は、大きな違いといえるでしょう。
そして最大の違いとなるパワートレインですが、北米仕様には190HPを発生する直列4気筒1.5リッター直噴ターボのガソリンモデルと、直列4気筒2リッターエンジンに2モーターハイブリッドシステムを組み合わせ、システム出力204HPを発生するハイブリッドモデル(日本では「e:HEV」と呼ばれるもの)の2種類を設定。
そして駆動方式も前輪駆動のみのe:FCEVに対し、北米仕様は前輪駆動のほか、リアルタイム4WDが選択できるという点も大きな違いとなっています。
なお、6代目CR-Vは北米向けのモデルやe:FCEVを含め、すべてアメリカで生産されており、日本では実質的な後継車種としてミドルサイズの「ZR-V」が存在しているため、残念ながら、日本へe:FCEV以外のモデルが導入される可能性は低そうです。