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なぜ「東京の一部」で車両盗難増加? 足立・江戸川が狙われる理由は? 被害多い千葉と関係はあるのか

くるまのニュース 2024年7月28日 9時10分

2023年にもっとも自動車盗の件数が多かったのは千葉県(746件)で2位愛知県(698件)、3位埼玉県(683件)、4位茨城県(615件)と続いています。こうした中で最近は窃盗犯が避けると言われる東京東部の足立区、江戸川区で増えていると言いますがその理由は何なのでしょうか。

■窃盗犯が避ける東京での盗難なのに足立区、江戸川区では増えている理由

 SNSなどでは毎日のように自動車盗の被害が投稿されています。

 セキュリティグッズを使用していても被害にあるようです。一方で首都圏ではどのエリアが注意するべき場所なのでしょうか。

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 2023年にもっとも自動車盗の件数が多かったのは千葉県(746件)で2位愛知県(698件)、3位埼玉県(683件)、4位茨城県(615件)と続いています。

 ちなみに茨城はかつて盗難ワースト1位が続いていた時期もありましたが、茨城県警がかなり気合を入れて自動車盗の検挙に取り組んだ結果、盗難件数も減り、検挙率も2022年24%→2023年39.3%と大幅にあがりました。

 盗難車発見につながる情報提供に対して最大3万円の報奨金を出すことも検挙率アップに貢献しているかもしれません。

 2位の愛知も2022年884件→2023年698件と大幅に減少している一方で、急増しているのが千葉や埼玉です。

 自動車盗の基本パターンはクルマを盗む→解体ヤードに運んで解体、または丸車の状態で換金→部品をコンテナに詰める→港へ運ぶ→コンテナ船に載せて違法に輸出となります。

 このパターンから考えると、千葉や埼玉で多い理由は以下が考えられます。

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 ・平地が多く、解体ヤードを作りやすい。
 ・千葉には全国の約1/4のヤードが存在しており盗難車の移動から解体が素早く行える。
 ・解体から輸出までの流通経路が確立されている。
 ・盗難車をコンテナで輸出する港が近いなどの地理的条件が整っている。
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 そしてもう一つ、あまり知られていない理由もあります。

 筆者が先日、警察関係者に聞いた話によると千葉や埼玉は自動車盗に対する警察の捜査が追い付いていない実情があり、その背景には窃盗犯の外国人率が高いことや捜査のための予算や人員が限られていることがあるそうです。

 検挙率が莫大に高い東京は警視庁の中に自動車盗難に対する特別なプロジェクトチームがあり、警視庁ゆえの豊富な予算と人員配置が可能となることも犯人逮捕に至りやすい理由と考えられます。

 警視庁(東京都)の検挙率は2022年89.9%、2023年58.4%と千葉の25.5%(2023年)や埼玉の21.4%(同)に比べると約3、4倍というすさまじい高さです。

「東京での自動車盗難は難しい。窃盗してもほぼ捕まってしまう。」、「東京は高級車も多いが日本で一番自動車を盗みにくい場所」として窃盗グループの間では認知されているのです。

 前述の警察関係者いわく「交差点の防犯カメラやNシステムの数なども圧倒的に警視庁管内は多いのです。捜査体制が整っているといえるでしょう。検挙率の圧倒的な高さが物語っています。それゆえに自動車盗が東京での窃盗を避ける傾向が強いのです」と話しています。

■窃盗犯が避ける東京での盗難なのに足立区・江戸川区で盗難が多い理由は?

 ところで、自動車盗難情報局のデータでは埼玉や千葉以外に足立区や江戸川区での盗難も目立っています。

 多くは一戸建ての敷地内駐車場で、車種はトヨタ「ランドクルーザー(200/300/プラド)やレクサス「LX」が多くなってきています。

 足立区と江戸川区は窃盗犯が避ける東京にあるわけですが、なぜ、これらの地域で盗難が増えているのでしょうか。

 理由は足立区・江戸川区が埼玉と千葉に隣接しているエリアだからです。

 盗んだクルマを千葉や埼玉に数多く存在する窃盗団のアジトに運びやすく、盗難車を買い取ってくれる普段付き合いのある解体ヤードも数多くあり、窃盗→解体→換金→輸出までのルートも確立されています。

 検挙率が非常に高い警視庁の捜査を逃れて、検挙率最下位レベルの千葉や埼玉に運び込めば低リスクで窃盗が成功するとみているのでしょう。

 東京都に隣接といえば西側の神奈川県はどうでしょうか。

 実は、神奈川県における自動車盗の件数は2022年276件→2023年461件と激増しています。

 2024年に入ってからも2024年5月末までの自動車盗は197件発生しており前年同期に比べて11.3%の増加です。

 特に多いのは警察署別で港北(+17件)、藤沢北(+9件)、青葉(+7件)等。

 神奈川は検挙率が高く、2022年は72.5%、2023年は49.5%と首都圏では東京に次ぐ高さで千葉や埼玉の2、3倍となっています。

 なお、検挙とは簡単に言うと窃盗犯が逮捕されることであり、逮捕までには数か月~年単位の時間がかかることも珍しくありません。

 盗まれたクルマはすでに解体されて海外へ持ち出されているケースがほとんどで、クルマが被害者のもとに戻ってくることはまずありません。

 逮捕されたとしても外国人の多くは不起訴になり、また起訴された場合も罪が軽いこともあって何回も自動車盗を繰り返すのです。

 逆に見つかる場合の平均的な日数はこれまでの例を見ていると盗難から1-3日以内です。

 盗難に気づいたらナンバープレートなどを替えられる前に一刻も早く広く拡散することがマストです。

 拡散が早いSNSはインスタグラムよりも圧倒的にX(旧ツイッター)であることも覚えておいてください。

以前に作られた自動車盗難防止を啓発するポスター(出典:千葉県自動車盗難等防止対策協議会)

 特に自動車盗が増えているのは足立区、江戸川区、栃木市近辺、横浜市港北区、青葉区です。

 この地区に住んでいて盗難被害に遭いやすい車種に乗っている人は注意してください。

 純正セキュリティやハンドルロック&タイヤロック等の簡易なセキュリティではこれまでの事例からその場で即座に破壊されて簡単に盗まれています。

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