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なぜ登山者数「世界イチの山」で採用? 影のサポート役に「スズキ車」 ジムニーでなくクロスビー使う理由は

くるまのニュース 2024年8月11日 8時10分

高尾山は年間300万人の人が登る、世界一登山客が多い山。ミシュランガイドに掲載されていることから、近年では土地に不慣れな外国人登山客が急増しています。そんな高尾山で登山客をサポートするのがスズキ「クロスビー」です。スズキには悪路に適した「ジムニー」もいますが、なぜ「クロスビー」なのでしょうか。

■スズキの最強SUV「ジムニー」ではなく「クロスビー」が高尾山に採用される理由は

 本格的な夏の到来と共に、各地の山では登山シーズンが訪れます。

 日本アルプスをはじめ、著名な山がある土地の警察には山岳救助隊が設置されており、隊員が様々な車両を活用しています。

 使われている車両は警ら用のパトカーのように車種が統一されているわけではなく、それぞれの山岳救助隊(都道府県警察)からの要望によって、各自治体が個別の車両を購入するというパターンが多いようです。

 使われている車両を見てみると、トヨタ「ランドクルーザー」や「FJクルーザー」、「ハイエース」、三菱「パジェロ」、日産「エクストレイル」「サファリ」など実に様々です。しかし、総じて四輪駆動車が多くなっています。

 日本の首都である東京都は、実は有数の山岳地帯があります。特に山梨県や埼玉県との県境に広がる奥多摩・秩父の山岳は非常に山深いことでも知られています。

 その入口とも言える場所に、日本でもっとも人がやってくる山があります。「高尾山」です。

 高尾山は年間300万人の人が登る、世界一登山客が多い山。ミシュランガイドに掲載されていることから、近年では土地に不慣れな外国人登山客が急増しています。

 加えて、ケーブルカーやリフトで途中まで登れてしまう気軽さもあり、事故や遭難が絶えません。

 2022年に警察庁が発表した全国の山岳遭難者の数は431人、そのうちの108人が高尾山での遭難者となっているのです。

 こうした事例を踏まえて、警視庁は青梅署、五日市署、そして高尾署に山岳救助隊を置いています。

 山で緊急の事態が起きた場合は、装備を整えて現場に急行するのです。そして、その時に乗車していくのが前述の専用車両というわけです。

 高尾山を管内に持つ高尾署の山岳救助隊は、なんとスズキ「クロスビー」を使っています。

 かつてはパジェロを使用していましたが、つづら折りの道が続く高尾山の道で小回りを重視して、2020年に同モデルが配備されました。

 これに救助に使う装備類を載せて現場に急行するのですが、小回りや走破性を考えれば、「ジムニー」や「ジムニーシエラ」のほうが向いているのではないかと思う人が多いのではないでしょうか。

 過去にその理由を隊員に聞いてみたところ、「ジムニーではパワーが足りず、シエラでも後部座席に人が乗りにくいから」という答えが返ってきました。

 実は山岳救助隊の車両には、後部座席に軽傷の登山者や疲労で動けないという人を乗せる場合があります。

 救急車を出動させるまでには至らないケースでは、山岳救助隊の車両に乗せて下山させるというわけです。

 山岳救助隊のクロスビーは、格別多くの専用装備が付いているわけではありません。

 LED探照灯とタンカ収納ボックス、独自のパトライトを除けば、ごく普通。

 車内も警察無線機やパトライト、探照灯のスイッチ以外はノーマル車両と変わらないようです。

 ちなみにこのクロスビー、年間で70〜80回も出動します。インバウンドでさらに高尾山に登る人が増えている状況で、人知れずにみんな安全を陰からサポートしているのです。

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