クルマが停止した状態でハンドルを切ることを「据え切り」といいますが、この据え切りには「クルマに良くない」という説があります。では実際のところ、クルマにどのような影響があるのでしょうか。
■「据え切り」は本当にダメなの?
駐車場でクルマをバックして停める際などに、クルマをいったん停車した状態でハンドルを切る人もいるでしょう。
この止まった状態でハンドルを動かすことを「据え切り」といいますが、実は据え切りには「クルマに良くない」という説があります。
では、据え切りをすると、実際のところクルマにどのような影響があるのでしょうか。
これについて中古車ディーラーに勤める整備士に話を聞いたところ、以下の回答がありました。
「据え切りの影響としては、まずタイヤが擦り減ってしまうことが挙げられます。走行中とは異なり、クルマの重さがタイヤの一部分にのみ掛かった状態でハンドルを切るため、その部分にダメージを与えてしまいます」
タイヤは丈夫に作られてはいるものの、1点に荷重が掛かった状態で左右に動かすと、摩耗が生じてしまい、そしてあまりにも摩耗が偏った場合にはその部分のバランスが崩れ、タイヤ全体の消耗を早めてしまう可能性もあるそうです。
また、タイヤ以外にも「ステアリング機能にも影響を与える可能性がある」とのこと。
現在のクルマは電動のパワーステアリング機構(パワステ)が搭載されており、ハンドルが快適に操作できるようアシストしてくれています。
しかし、停止状態でハンドルを動かそうとすると、それだけ強力なアシストが必要になり、通常よりも負荷が掛かってしまうのです。
このように、据え切りはタイヤやステアリング機能にダメージを与えてしまう行為ということでした。
では、据え切りは繰り返すことでクルマが故障するということは無いのでしょうか。
元整備士によると、「据え切りをすることによるダメージは、正直そこまで大きくはないと考えられます」とのこと。
とくに近年のクルマのステアリング機能については、据え切りをしても大きな影響が出ないよう考慮して設計されているため、そこまで気にする必要はないといいます。
また、タイヤについても、「運悪く同じ場所に負荷が掛かり続けるといったことがなければ、急激な摩耗は起こらないはずです」とのことでした。
どうやら据え切りは、厳密に言えばクルマにダメージを与えてしまう行為ですが、その影響はそこまで大きくはないようです。
まずは先にバック駐車に慣れることを優先し、次第に据え切り必要としない停め方を覚えていけば安心ですね。