夏から秋は「ゲリラ豪雨」や「台風」など、大雨が降りやすい季節です。そんな大雨のなかでクルマを運転するとき、どのようなことに注意すべきなのでしょうか。
■一般道と高速道路で異なる対処法とは?
梅雨の時期から夏、秋にかけては雨が降りやすいシーズンです。なかでも、局地的に猛烈な雨をもたらす「台風」や「線状降水帯」「ゲリラ豪雨」など、大雨や共有によって大きな被害を受けることもあり、注意すべき季節となっています。
直近では、2024年8月17日に関東地方に最接近した台風7号による強風や激しい雨により、鉄道や飛行機などが運休になるなど交通機関に影響を及ぼしたほか、倒木や道路の冠水といった被害をもたらしました。
さらに、台風10号が西日本接近。日本列島を縦断する予報が出ており、暴風雨に警戒が必要です。
大雨に見舞われているときは外出を控えるべきですが、やむを得ないこともあるでしょう。なかでも、激しい雨のなかでクルマを運転するときは、視界が悪化したり、道路が冠水するなど、危険な状況になりかねません。
ゲリラ豪雨や台風のときにクルマを運転する場合、どのようなことに気を付ければ良いのでしょうか。
大雨の時の対策は、一般道と高速道路とで異なります。
まず一般道では、大雨で路面が滑りやすくなったり、視界が悪化することによる他車や歩行者の視認の遅れに注意が必要です。
最も有効な対策は「走行速度を落とす」こと。走行速度が落ちればタイヤのグリップが安定しスリップ事故を予防できることに加え、突発的な事態にも対応しやすくなります。
大雨のような悪天候時は、昼間でもヘッドライトを点灯して自車の存在をアピールすることも大切です。
また、大雨が降った時は、急な増水や河川の氾濫によって道路が冠水し、クルマが水没する危険性が考えられます。
特に「アンダーパス」と呼ばれる、道路や線路の下を潜るように設計された立体交差は、雨水が溜まりやすくなります。
無理に進入して立往生するとエンジン吸気口に水が侵入してクルマが停止してしまうだけでなく、水圧によってドアが開かなくなり、脱出できなくなる恐れもあります。
冠水路に遭遇したら無理に進入しないで引き返すなど、リスク回避する意識を常に持っておきましょう。
以前JAF(日本自動車連盟)では、冠水路における水圧の影響でドアが開くかどうかを実験しています。
セダンとミニバンを用いた実験では、両車ともに「後輪が浮いている状態」だと外からの強い水圧によってドアを開けることができなかったのですが、「完全に水没した状態」では、車内外の水位差が小さくなり、水の抵抗を受けるものの、どちらのドアも開けることができました。
万が一クルマが水没してしまったときは、「ドアや窓が開かない場合は緊急脱出用ハンマーでガラスを割って脱出する」、「外の水位との差が小さくなるとドアへの水圧も下がり開けやすい」といった対策を覚えておくとよいでしょう。
なお、大雨と同時に突風にも注意が必要だとJAFは指摘します。
過去のJAFへの救援要請では、台風のときにドアが風にあおられて破損し、閉まらなくなるトラブルも発生しているといい、風速30m/sを超えると風にあおられ、大人でもクルマのドアが抑えられないことがあるので、強風時はドアの開け方に十分気を付ける必要があります。
では、高速道路を走行中に大雨に見舞われたときはどうしたら良いのでしょうか。
高速走行中は雨による視界不良で運転が難しくなることが予想されますが、本線上で停車してしまうと後続車から追突される恐れがあり、非常に危険です。
路肩に停車すれば良いと思う人がいるかもしれませんが、緊急車両が走行する可能性があるため、停車しないほうが良いでしょう。
高速道路では、「十分に速度を落として安全を確保し、最寄りのSA・PAに避難する」というのが正しい対処法だといえます。
なお、NEXCO西日本が公表する「降雨時通行規制基準」によると、時間雨量(1時間の降水量)が50mm前後、または連続雨量が200mmを超えると通行止めの対象になるそうです。