最近では警察が使用する「覆面パトカー」に似せた仕様で公道を走行した事案が発生しています。さらに直近でもSNSでエセ覆面や偽白バイが話題となっています。これらの行為は問題ないのでしょうか。
■偽覆面、エセ覆面… SNSで話題に。問題点はどこ?
SNS上においては、たびたび覆面パトカー風にカスタマイズされた自家用車の写真が投稿されています。
一見すると本物の警察車両のようにもみえますが、このようなカスタマイズに問題はないのでしょうか。
世の中には、一般車両を覆面パトカー仕様にカスタマイズし、たびたびSNS上に投稿している人がいます。
たとえば車両のルーフ部分に穴を開け、そこから赤色灯を出せる仕組みにしたり、車内に無線やサイレンの機器などを設置したりするカスタマイズがみられます。
インターネットオークションサイトでは、警察で使われているものと同タイプの赤色灯やサイレン機器、アンテナなどが販売されているため、それらを利用する人も少なくありません。
また覆面パトカー仕様にカスタマイズするのは、「警察車両が好き」「カッコイイ」といった理由があるようです。
加えて、覆面パトカー仕様にすることで周囲の車両から煽られないといったメリットもあります。
しかし2020年12月には、北海道札幌市内においてハロウィーンの夜に偽装パトカーを走行させた2人の男が道路運送車両法違反と道路交通法違反の疑いで書類送検されています。
さらに2024年5月には、福岡県福岡市内において覆面パトカーに偽装した車両が赤信号の交差点に進入し、タクシーと接触して運転手と乗客に怪我を負わせる事故が発生しており、偽装パトカーに乗車していた2人組の男が自動車運転死傷行為処罰法違反(危険運転致傷)の疑いで逮捕されています。
なお、同事故に際しては逮捕された男らが赤色灯を車上に設置して走行したほか、車内マイクを使って「交差点に進入します」などと呼びかけていました。
また最近でもSNSを中心に「エセ覆面」と呼ばれる行為が投稿され話題を呼んでいます。
このように偽装パトカーによる事案はときどき発生していますが、一般車両を覆面パトカー風にカスタマイズすることに問題はないのでしょうか。
結論から言うと、一般車両を覆面パトカー仕様に変えること自体に問題はないものの、一定のルールを守る必要があります。
まずそのルールとして、一般車両に赤色灯を装着して公道を走行しないことが挙げられます。
これは道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第218条により、パトカーや消防車、救急車といった緊急自動車以外は赤色灯を装着してはならないと決められているためです。
ちなみに私有地内で使用するだけであれば赤色灯を装着することは可能であり、全国では交通安全のために偽物のパトカーを道路脇の敷地に設置している事例もあります。
次に、一般車両に「○○警察」や「POLICE」などのロゴを表記することも禁止されています。
もしそのようなロゴをクルマに表記すると、刑法第166条第2項に規定する「偽造公記号使用罪」に抵触し、罰則として3年以下の懲役が科せられます。
何より、警察と間違えられるような紛らわしいロゴを入れれば周囲の人にも迷惑をかける可能性があるため、カスタマイズの際には十分注意しましょう。
そして各都道府県の道路交通規則によっては、赤色灯の設置に加え、緊急自動車と似たサイレン音を発することも禁止されている場合があります。
一例として東京都道路交通規則の第2章 第8条 第13号では、ドライバーが守るべき事項を次のように定めています。
「令第13条第1項各号に掲げる自動車以外の自動車若しくは原動機付自転車を運転するときは、緊急自動車の警光灯と紛らわしい灯火を点灯し、又はサイレン音若しくはこれと類似する音を発しないこと。」
この条文における「令」とは道路交通法施行令のことで、「令第13条第1項各号に掲げる自動車」とは緊急自動車のことをいいます。
つまり緊急自動車以外の車両を運転する際には、緊急自動車に似た赤色灯を点灯したり、サイレン音を出したりすることが禁止されています。
自分の愛車をカスタマイズする際には、一定のルールを守って楽しむことが重要といえるでしょう。
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最近では愛車を覆面パトカー仕様にカスタマイズし、SNSに投稿するユーザーがみられます。
また2024年5月末にはユーチューバーの男性が青色のジャージに反射ベスト、白いヘルメット、黒色ブーツを着用して道路脇に立ち、交通監視をおこなう動画を投稿。
一見すると白バイ隊員に類似しており、動画内でも男性の影響なのか通行車両が車間距離を空けたり、スピードを落としたりする様子が映されており、テレビやSNSでは「白バイコスプレオジサン」というカタチで話題を呼んでいます。
これらのように単純なコスプレやクルマのカスタマイズ自体に問題はないものの、警察と間違えられるようなロゴを付ける・警察官のフリをするなどの行為は法律に抵触するおそれがあるためやめましょう。