日産とホンダは2024年8月1日、次世代技術に関する共同研究契約を結んだと発表し、その際に車両の相互補完も明らかにしました。現在国内の日産ラインナップにない「コンパクトミニバン」のOEMについて考えます。
■技術面だけじゃなかった! ホンダと日産の協業でOEMもはじまる!
2024年8月1日に行われた記者会見で、主要な領域において協業することを発表したホンダ、日産、そして三菱の3社。なかでも驚かされたのは、「車両の相互補完」を行うとしたことでした。
具体的な事例は明かされませんでしたが、相互に人気車種が供給されるとなると、国内市場に大きな影響を及ぼすことが考えられます。なかでも期待したいのが、人気コンパクトミニバン「フリード」の日産へのOEM供給です。
記者会見によると、ホンダと日産の「車両の相互補完」は、ガソリン車やハイブリッド車、プラグインハイブリッド車も検討しているとのこと。
消えゆくピュアガソリン車においても相互補完が行われる可能性があるということは将来の話ではなく、既存車種のバッジを付け替えて販売することも考えられます。
そうなると期待したいのが、ホンダの売れ筋モデルであるコンパクトミニバン“フリード”の日産へのOEM供給です。
子育て世代から高齢世帯まで、使い勝手の良さやちょうどよいボディサイズ、広い車内、さらには低燃費などの魅力によって、常に国内登録台数ランキングの上位にランクインをしているコンパクトミニバン。
なかでもフリードは、2024年6月にフルモデルチェンジを実施したばかりのニューモデルです。
かつては日産にも、「キューブ」をベースとする「キューブキュービック」という3列シートのコンパクトミニバンがありましたが、現在の日産ラインナップには後継モデルがありません。
フリードはいま、日産がもっとも欲しいクルマのひとつであるはず。
もしもフリードが日産にOEMされることとなれば、刷新したばかりの売れ筋モデルを労せず手に入れることができ、ホンダにとっても量販効果をさらに高めることができることから「一石二鳥」といえます。
両社の協業でもうひとつ期待したいのが、古くなった大型ミニバンの刷新です。
ホンダには「オデッセイ」、日産には「エルグランド」という高級ミニバンがありますが、どちらもフルモデルチェンジが行われず、マイナーチェンジを幾度か行いながら、10年超えという長寿モデルとなっています。
両車とも、月間販売台数ランキングで上位入りの常連であるライバルのトヨタ「アルファード/ヴェルファイア」の前では、もはや太刀打ちできないとあきらめているのかもしれません。
しかしプラットフォームやパワートレーン、ソフトウェアなど見えない部分を共有することで、コストの負担を軽減しつつ、内外装のデザインはオリジナリティを発揮し、双方がフルモデルチェンジすることができれば、大きな利益となるはず。
ぜひ協業によって、アルファードと勝負できる新たな高級ミニバンを開発してくれることを期待したいです。
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ホンダ・日産・三菱の協業は、コスト削減がより求められるBEV(バッテリーEV:電気自動車))向けバッテリーやモーター、eアクスルなどのパーツ共用にとどまると考えていただけに、今回、車種レベルの相互補完も示唆したことには、大きな驚きと大いなる期待を感じています。
3社の今後には大いに期待したいところです。