山形県遊佐町のお盆は「迎え盆」で少し変わった風習があるといいます。どのようなことなのでしょうか。
■「お盆のクセが強い」山形県遊佐町の風習とは!?
住んでいる地域にもよりますが、お盆といえば8月13日~16日頃が一般的です。そしてその「お盆」には様々な風習や伝統があります。
小さい頃、全国区で行われていると信じていた風習が、実は超ローカルだった…という経験をしたことがある方も多いでしょう。
なかでも山形県遊佐町のお盆は、まさに「超ローカル」な独自の文化があり、クルマ好きにとっては思わず真似したくなる風習なのです。
お盆では仏壇を綺麗にしたり、キュウリとナスに割箸を刺して馬と牛に見立てた精霊馬(しょうりょううま)を作ったり、提灯を持って迎え火や送り火を経験したことがある人も多いでしょう。
しかし、山形県遊佐町のお盆の風習は実にユニークです。
この地域では、1965年(昭和40年)頃よりクルマや飛行機が精霊馬の代わりとして軒先に飾られるのです。
しかも「お盆の時期には多くの家庭の軒先にミニカー、なかでもスポーツカーが飾られる」といいます。その理由はもちろん、「より早くご先祖様に会える」という想いから。
この時期になると、街の玩具店でも、どのミニカーを飾ろうか品定めするお客さんが増えるのだとか。
ユニークな風習であることから町外から関心を持つ人も多いようで、同町の関係者によると、この風習が今年も行われるのか、また実際に観られるのかなど、全国から町役場などに問い合わせがあるそうです。
そしてさらに、山形テレビが毎年開催している「山形ふるさとCM大賞」の第23回(2023年)においては、「お盆のクセが強い山形県 遊佐町」のキャッチコピーが目を惹く遊佐町のCMが、見事「クセつよ賞」を受賞しているのです。
「お盆はみんなキュウリとナス。ご先祖様を運びます…」の歌声とともにお線香、精霊馬と画面が横に移っていくと、そこには「エンツォ・フェラーリ」を眺めるおじいちゃんと、女の子のお孫さんの姿が。
そして画面が切り替わり「だけど・遊佐町・ご先祖・スポーツカー!」の歌声と共に、サングラスを掛けたご先祖様がフェラーリ「F355」をドライブする映像に。そして再び、おじいちゃんとお孫さんが和室で談笑する場面へ変わります。
背後にはその光景を眺めながらにこやかに微笑むご先祖様と、軒先に吊るされたエンツォ・フェラーリの姿が映し出されます。
山形県出身のカーデザイナー、奥山清行氏がデザインを手掛けたエンツォ・フェラーリが登場するあたり、マニアックかつ何とも粋な演出にほっこりします。
このように、お盆の時期の遊佐町ならでは風習は、クルマ好きにとって実に魅力的かつ興味深いものとなっています。
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遊佐町は、7月25日に発生した大雨の影響により、町内各所に甚大な被害が発生しました。今年のお盆は、この豪雨からわずか3週間ほどで迎えることとなります。
遊佐町の田んぼのうち、約7割が浸水や土砂の被害を受けているという報道されており、町内には通行止めの区間や、お盆休み返上で復旧作業に当たっているエリアもあるようです。
もし、現地に足を運ぶとしたら、事前に町役場などに問い合わせて迷惑にならないか確認した方がいいかもしれません。
ちなみに、ボランティア活動やふるさと納税などを活用して遊佐町の復興を支援するという方法もあります(筆者:松村透も僅かながら、ふるさと納税で復興支援金を寄付)。
今年の遊佐町は大変な状況ではありますが、来年は例年通り、ミニカーによるユニークなお盆が迎えられることを祈るばかりです。