セルフのガソリンスタンドで給油する際、「名前に“軽”と付いているから、軽自動車に軽油を入れてしまった」というトラブルは実際に発生しており、注意が必要です。では「軽油」は一体どんな燃料で、どのようなクルマで使用するものなのでしょうか。
■「軽油」は、どんなクルマに入れるもの?
一般的にガソリンスタンドの給油機には、「ハイオクガソリン」「レギュラーガソリン」「軽油」の3種類があります。
詳しくない人は全部まとめて「ガソリン」と呼びがちですが、正確にはガソリンに該当するのは「ハイオク」と「レギュラー」の2つのみ。
では「軽油」は一体どんな燃料で、どのようなクルマで使用するものなのでしょうか。
まず先述の「ハイオクガソリン」「レギュラーガソリン」は、その名の通りガソリンエンジンを搭載したクルマに用いられる燃料です。
一方で「軽油」は「ディーゼル燃料」とも呼ばれ、つまりディーゼルエンジンを搭載しているクルマで使用します。
そして重要なのが、ガソリンと軽油の特徴が大きく異なるという点。なぜなら「ガソリンエンジン」と「ディーゼルエンジン」はそもそも構造が別物で、燃焼の仕方も違うからです。
どちらも「石油から精製して作られたクルマの燃料」という点は同じですが、ガソリンは「低温で燃焼しやすい」、軽油は「高温で燃焼しやすい」という化学的な違いがあります。
また軽油は「着火性が高い」のも特徴で、ガソリンエンジンは「スパークプラグで着火する」のに対し、ディーゼルエンジンは火花を使わず「エンジン内での圧縮による熱」で自然着火するもので、軽油もそれに合った性質を持っています。
そのため軽油を用いるディーゼルエンジンは、高温になるまで空気を圧縮することができ、ガソリンエンジンと比べて熱効率が良く、安定してパワーが出せることから、バスやトラックといった「安定したパワーが必要なクルマ」に用いられています。
また乗用車でも、ミニバンなど大人数が乗車するような大きく重いクルマに用いられるケースがあります。
■軽自動車への「入れ間違え」に注意!
クルマのエンジンは、用いる燃料の特性に合わせて設計されていますので、ガソリンエンジンに軽油を入れると「不完全燃焼」を起こしますし、逆にディーゼルエンジンにガソリンを入れても、うまくエンジンが動かせなくなります。
つまりいずれのケースでも、入れ間違えればエンジンに大きなダメージを与えてしまうのです。
このようにエンジンの故障を避けるためにも、入れ間違えには注意しましょう。
とくに、「名前に“軽”と付いているから、軽自動車の燃料と勘違いして軽油を入れてしまった」というトラブルは実際に発生しており、注意が必要です。
もし入れる燃料を間違えてエンジンを動かしてしまうと、誤った燃料がエンジン内部を循環し、先述のようにエンジンにダメージを与えてしまいます。
そして修理のためにエンジンの分解・洗浄が必要となるだけでなく、最悪の場合はエンジン自体を交換するケースもあり、高額な修理費が発生します。
しかし、入れる燃料を間違えてもエンジンを動かさなければ、燃料を抜き取りってタンク内を洗浄するだけで済む可能性もあります。
「間違った燃料を入れてしまった!」とその場で気付いたら、絶対にエンジンをかけず、すぐにガソリンスタンドのスタッフに伝えましょう。
ちなみに、一般的には軽油は給油機の「ノズルの色」が「緑色」で、レギュラーガソリンは「赤色」、ハイオクガソリンは「黄色」と色で見分けることも可能です。
入れ間違えを防ぐためにも、ノズルの色を併せて覚えておくのも良いでしょう。
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このように、同じクルマの燃料でもガソリンと軽油は別物です。
うっかり入れ間違えれば大きなトラブルに発展するので、給油の前に「自分のクルマのエンジンタイプ」と「補給する燃料の種別」をしっかりと把握しておきましょう。