近年コンパクトミニバンが幅広い世代で人気を博していますが、かつてトヨタは「2-0-2」といった、斬新なシートレイアウトのコンパクトミニバンを販売していました。一体どのようなクルマなのでしょうか。
■まるでリムジンな後席を持つ「スパシオ」とは?
近年トヨタ「シエンタ」や、ホンダ「フリード」など、小さなボディに沢山の人と荷物を載せることができるコンパクトミニバンが、幅広い世代で人気です。
これらのミニバンには、「2-3」といった2列シート5人乗りや、「2-2-2」「2-2-3」といった3列シート6人/7人乗りが採用されています。
そんななかで、トヨタはかつて「2-0-2」といった斬新なシートレイアウトのクルマを販売していました。
そのクルマは「カローラ スパシオ(以下、スパシオ)」です。
同車はトヨタの乗用車ブランドであるカローラの派生モデルとして、初代モデルは1997年1月に発売されました。
ボディは、カローラ系のシャシを使って作られたミニマムサイズのミニバンで、全長4135mm-4210mm×全幅1690mm×全高1620mm-1660mmと、同社のシエンタと近いサイズ感です。
外観は、雲形定規のような曲面主体となっており、他のカローラのバリエーションとは違ったデザインが用いられています。
一方で、内装には3パターンのシートレイアウトが採用されており、ミニバンとしての使い勝手を濃縮した「2-2-2」の3列シート6人乗り、サードシートをレス化しラゲッジスペースも重視した「2-3」の2列シート5人乗り、そしてセカンドシートをレス化し後席の広さを優先した「2-0-2」の2列シート4人乗りが設定されました。
特に2列シート4人乗り仕様では、後席シートを300mmスライドさせることが可能で、荷物の量や好みに合わせて、任意に着座位置を変更できるようになっています。
さらに、3列シート6人乗り仕様では、助手席のシートを後方に回して、後席と対座できたり、2列目シートを倒してテーブル代わりにできるなど、多彩なシートアレンジが可能です。
また2列目シートは脱着でき、取り外した時の後席の広さは、大人が余裕で足を組めるほどだといいます。
そのほか、当時のカローラ系では唯一のデジタル式スピードメーターが採用されるなど、最新技術も搭載されていました。
パワートレインは、最高出力110馬力・最大トルク149.1Nmの1.6リッター直列4気筒エンジンのほか、最高出力120馬力・最大トルク156.9Nmの1.8リッター直列4気筒エンジンが用意され、トランスミッションは4速ATが組み合わされています。
駆動方式は1.6リッターモデルにはFF、1.8リッターモデルにはフルタイム4WDが採用されています。
初代スパシオの価格(消費税抜)は、発売時期によって異なりますが、138万6000円から207万8000円です。
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2001年5月に2代目スパシオが発売されましたが、内外装デザインと共にシートレイアウトも刷新され、3列シート7人乗りとなりました。
このように、様々なシートレイアウトの試行錯誤を経て、現在のコンパクトミニバンブームにまで至ると思うと、感慨深いものがあります。
もし今、カローラからスパシオのようなクルマが発表されれば、再び注目を集めるかもしれません。