ドイツ・ケルンにあるトヨタコレクションに、「AYGO CRAZY(アイゴ クレイジー)」と名付けられたコンパクトカーが展示されています。どのようなモデルなのでしょうか。
■トヨタ「AYGO CRAZY(アイゴ クレイジー)」って何?
ドイツ・ケルンにあるトヨタコレクションは、元々彼の地でトヨタディーラーを経営していた人物の私設コレクションでしたが、氏の逝去後にトヨタのドイツ法人がその遺志を受け継ぎ運営している自動車博物館となります。
そのトヨタコレクションには「AYGO CRAZY(アイゴ クレイジー)」と名付けられたコンパクトカーが展示されています。
「アイゴ」というモデルは日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、現地の若者をターゲットとしたコンパクトカーで、当時の「ヴィッツ」よりもコンパクトなボディサイズを持ち、1リッターのガソリンエンジンを搭載したモデルです。
当時、トヨタとプジョー、シトロエンが合弁企業を設立し、アイゴのほか、プジョー107(モデルチェンジ後は108)やシトロエンC1としても販売され、エクステリアデザインの異なる3兄弟として販売されていたのでした。
今回紹介するトヨタコレクションに展示されているアイゴは2014年に登場した2代目モデルで、エクステリアデザインは日本の若者文化にインスピレーションを受けた個性的なものとなっています。
写真を見る限り、かなり車高が低められていて、AYGO CRAZYというロゴがボンネットやボディサイドに入れられている以外は特に大きな変化はないように見えますが、実は中央のバルブブロックに 6 個の電動バルブを備えた 24 ボルトのポンプセットアップと、リアアクスルに複動シリンダーが組み込まれており、油圧によって車高を自由に変えることができるようになっているのです。
実はこの車両、2代目アイゴが登場した際に作られたCMに登場したもの。そのCMのタイトルが「AYGO CRAZY」となっていて、ドイツの首都であるベルリン市街を走り回り、事あるごとに犬がマーキングするが如く、後ろ足を上げてスリーホイラー状態でおしっこをする……という奇抜な作品だったのでした。
なお、同じAYGO CRAZYという名前が付けられたコンセプトカーは、初代アイゴ時代の2008年にイギリスでも制作されており、こちらは初代アイゴをベースにMR-Sに搭載されていた1.8リッターエンジンをターボ化してミッドシップに搭載し、同じくMR-S用の5速MTを介して後輪を駆動するというまさにクレイジーなもの。
車内はロールケージが張り巡らされ、全幅は185mmもワイド化。ブレーキはフロントにブレンボ製の4ポットキャリパーがおごられ、足元には225サイズの17インチタイヤが備わるなど、見た目以外はアイゴの面影が皆無という仕上がりでした。
どちらもアプローチこそ違えど、クレイジーな仕上がりとなった2代のコンセプトカー。日本でお目にかかれないのが残念なモデルと言えそうですね。