大型トラックの運転席の上が部屋のようになっているようですが、実際にはどのような空間なのでしょうか。
■トラックの運転席の上はどうなっている?
大きいトラックには、運転席(キャビン)の上に、窓の半分ほどの高さの部屋のようなスペースがあります。
これは一体なんのためについていて、中はどのようになっているのでしょうか。
運転席上部についているものは、導風版(エアデフレクター)という名称で、トラックのエアロパーツになります。
導風板には、「デザイン性を高めること」と「空気抵抗をできるだけ下げる」という役割があります。
導風板には広告をつけたり、LEDで光るものがあるので自分好みのトラックに仕上げるという人も中にはいるようです。
また、導風板により空気抵抗が下がり、燃料費削減にも繋がります。
導風板にはいくつか種類があり、先ほどあげたLEDが点灯するタイプやボードタイプ、固定式などです。
その中でも、運転席の上に不思議なスペースがあるものは、2階建てになっていて、外は導風板の役割があり、中は部屋のようになっています。
ちなみに、トラックのスペースに関して、トラックの運転席にはドライバーが快適に過ごせるように、運転席の後ろ側にベッドスペースを確保した「フルキャブ」があります。
トラックの2階部分もフルキャブと同様に休憩スペースとして活用できるような空間があります。
この2階建てのオプションは各トラックメーカーにより名称が異なります。
いすゞでは「マキシルーフ」、日野自動車では「スーパーハイルーフ」、三菱ふそうでは「スーパーマルチルーフ」という商品名です。
また、三菱ふそうの子会社の架装メーカー「パブコ」では、「CABUTO(カブト)」というルーフオンベッドを開発しました。
■内部はどんな感じ? 使い勝手は?
運転席を高くすることで導風板として機能しているトラックの2階ですが、その中の空間は一体どのようになっているのでしょうか。
三菱ふそうの担当者は次のように話します。
「弊社で取り扱っているスーパーマルチルーフは、全長1949mm× 全幅970mm× 全高740mmのベッドスペースがあり、寝返りの打ちやすい、ゆとりあるベッド幅を実現しています。
キャブ内(運転席)には蓄冷式リヤクーラーを設置し、スーパーマルチルーフ内へ冷風を送ることができ、エンジンを停止しても快適な睡眠がとれるよう配慮されています。
ベッドスペースを使用しない時は、助手席側のフロアを閉じてパーテーションネット
を張ることで、大きな収納スペースとして使用できます」
またスーパーマルチルーフには、その他の設備としてリーディングランプ、蛍光灯、スピーカー、カップホルダー、グリップ、DC24Vコンセント、脱出口があります。
さらに、ドライバーが実際にどのように利用しているのかについて前出の担当者は次のように話します。
「スーパーマルチルーフ設定車のドライバーさまは、仮眠をとったり、休憩をとるスペースとして利用しています。
蓄冷式リヤクーラーを設置しているので、『夏でも暑さを心配せずに過ごせる』とおっしゃっています。
また、スーパーマルチルーフは荷室スペースを狭くせずに、ドライバーが休憩をとる時間を確保したいという両方を実現できる車両として、好評をいただいております」
トラックの2階部分は、快適性やもしもの時も想定されているような設計で、ドライバーにとってはありがたい空間になっているようです。
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トラックの2階部分は、ただ板や空間があるだけではなく、ドライバーのことを配慮してたくさんの工夫が施されています。