2024年7月にインドネシアの首都ジャカルタで開催された「ガイキンド インドネシア国際オートショー」で、ダイハツのインドネシア法人はとある「奇妙な新型車」を初公開しました。どのようなクルマなのでしょうか。
■ベージュの新型車の正体は?
2024年7月にインドネシアの首都ジャカルタで開催された「ガイキンド インドネシア国際オートショー」。ダイハツブースで奇妙なクルマを発見しました。
そのクルマは一般的な車両と変わらないサイズですが、ボディパネルは滑らかな曲線というよりも“ポリゴン感”があり、不思議な雰囲気。
灯火類と窓を除いてすべてのカラーがベージュで統一されているほか、表面は一般的な車両と異なりスベスベの塗装ともマット系の塗装とも異なるザラザラ感があるように見えます。タイヤやホイールまでベージュなのだから、かなりの統一感です。
実は、この車両の素材は段ボールで構成されています。
しかし段ボールで制作された割にはフロントグリルなども正確に再現され、ドアが開くし、インテリアもしっかりと作られているなど、細かく作り込まれており、凝った仕上がりとなっています。
制作にはかなりの時間がかかっているであろうことは容易にイメージできるクルマのサイズは1/1スケールとつまり実物大。モチーフとなっている車両は「シグラ」という現地向けのモデルで、サイズは全長4110mm×全幅1655mm×全高1600mm。なお、灯火類は実車の部品を使っています。
この“作品”はダイハツと「DusDukDuk」というインドネシアのイベントプランナーのコラボレーションから生まれたもの。環境に優しい70枚の大判中古段ボール(厚さ4mmでサイズ120×240cm)70枚などを使って作られました。使用されるすべての材料は、産業リサイクルプロセスを通じて100%天然の段ボールといいます。
「幸せをもたらし、インドネシアの若い家族の最初の車として選ばれることも多い、手頃な価格で燃費の良いクルマ、シグラ。そんなシグラからインスピレーションを受けています。ダイハツ工業とDusDukDukは、今後も自然保護と環境の持続可能性に貢献してまいります。」とDusDukDukはコメント。
つまりサステナビリティ性をアピールする作品というわけです。欧米や日本に比べると環境保護に対しての関心はそれほど高くない印象といえる現地の空気感ですが、自動車メーカーとしてはしっかりアピールしていく必要があるのは間違いありません。
ところでモチーフとなったシグラは、ダイハツが日本で培った軽自動車の技術やノウハウを生かして作られた3列シート7人乗りのAセグメントMPV。多人数乗車や多くの荷物の積載など、現地で求められるニーズを反映した現地向けのモデルであり、トヨタにもOEM供給されています。
「シグラ」という車名の由来サンスクリット語(北インドを中心にアジアの一部で使われた言葉だか今は話す人が少ない)で「反応がすばやい」といった意味なのだとか。現地のニーズを素早く反映したクルマをイメージし用いられているようですね。
インドネシアはダイハツにとって大きなマーケットであり、2023年の新車販売台数は18万7177台。58万9262台を販売し市場シェア42.2%とトップを独走するトヨタに続くシェア(13.4%)を誇るだけあり、モーターショー会場では広いブースを構えていたのが印象的です。
ちなみに同年のインドネシアにおける同社の生産台数はなんと53万台。販売台数の数倍にもなるのは、トヨタへOEM供給している車両が多く存在するからにほかなりません。