従来、個人でクルマを買う場合には普通乗用車/軽乗用車を検討します。しかし最近は仕事で使う軽商用車を検討する人が増えているようです。なぜあえて仕事車を検討するのでしょうか。
■4ナンバーの軽商用バン、なぜ個人が検討?
最近、軽自動車で4ナンバーとなる軽商用車を検討する人が増えているようです。
軽乗用車ではなく軽商用車を選ぶ理由には何があるのでしょうか。
ここ最近、軽商用車が増えています。
これまではスズキ「エブリイ」、ダイハツ「ハイゼット」、日産「クリッパー」、三菱「ミニキャブ」、ホンダ「N-VAN」などが展開されていました。
最近では、2021年12月にはそれまで軽乗用車だったダイハツ「アトレー」をフルモデルチェンジにより、軽商用車に変更。
2022年8月にはスズキ「スペーシアシリーズ」の新モデルとして軽商用車の「スペーシアベース」が登場しました。
また2024年1月には前述のクリッパーのEV版「クリッパーEV」が登場。
同年10月には前述のN-VANのEV版「N-VAN e:」が発売予定です。
そしてトヨタ、ダイハツ、スズキが共同開発している軽商用車(EV)をそれぞれで販売する計画が明かされています。
このように既存のラインナップに加えて、既存シリーズの新モデル、そしてEV版など様々なカタチで軽乗用車が増えつつあるのです。
そんな軽商用車には、ナンバープレート上段の分類番号が「4」から始まるものとなり、俗に4ナンバー車と言います。
軽商用車は基本的に軽乗用車規格(全長3400mm以下、全幅1480mm以下、全高2000mm以下、排気量660cc以下)を満たしていることに加えて、最大積載量が決められています。
その他、荷室部分の広さやサスペンション、タイヤなども軽乗用車と異なっている部分です。
また税金も軽乗用車と違い仕事に使う軽商用車ということで優遇されています。
軽自動車税(種別割)は、軽乗用車(5ナンバー)が1万800円ですが、軽商用車(4ナンバー)は5000円と異なっているのです。
また、13年が経過したクルマでは、軽乗用車(5ナンバー)が1万2900円ですが、軽商用車(4ナンバー)は6000円となっています。
その他の違いでは、軽乗用車(5ナンバー)の車検は初回が3年でそれ以降は2年ごと。軽商用車(4ナンバー)は2年毎となります(登録車の4ナンバー車は毎年の車検)。
また乗り心地や快適性に関しては、乗用と商用という違いが前提となっていることからも、特に後席では大きく異なっているのも特徴です。
一方で以前まで軽商用車のタイヤは「LT」、ホイールは「JWL-T」という規格に合致してなければ車検が通りませんでしたが、現在では緩和されています。
このような特徴をもつ軽乗用車ですが、どのような人が検討しているのでしょうか。
ダイハツの販売店では「当店ではアトレーが人気です。主に中高年層の男性が多く、趣味で車中泊や釣りをしたいということで検討されています。またコロナ禍ではもうひとつの部屋として考えているお客様もいました」と話しています。
スズキの販売店では「キャンプや車中泊の人気が高まるにつれて、お客様がスペーシアベースやエブリイを検討されています。またスペーシアベースではワーケーションのひとつとして検討されているお客様もいました」と話します。
またホンダでは「中年の御夫婦などが車中泊しながら旅をしたいと検討されていました」と話していました。
実際にN-VANを購入して車中泊をしているAさんは次のように話しています。
「昔ほど軽商用車の不便さとしてタイヤやホイールなどの規制が無くなったこと。
最近の軽商用車は運転支援機能や快適機能などが搭載されているでも快適になっていること。
という理由もあり、趣味に使うなら軽商用で十分だと思いました。
それでいて荷室はフラットなのでエアマット敷いて、好きなものを置けば自分の部屋になるのが最高ですね」
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このようにただ移動するだけではなく、クルマの使い方に自由度が出てきたことが軽商用車の需要が高まっている要因と言えそうです。
また前出のダイハツ、スズキ、ホンダでは「最近では個人配送をされる人が増えている」という話もあり、Amazonをはじめとする配送業での需要も増えているようです。
一方で自動車メーカーも「日本市場におけるカーボンニュートラルやEV化は軽乗用車から」と説明するように、最近では軽商用EVのラインナップも増えてきています。