人気の軽SUV「ハスラー」にはかつて「クーペモデル」が提案されていたといいます。どのようなクルマなのでしょうか。
■スズキ「ハスラー“クーペ”」!?
2014年1月に発売を開始した、スズキの軽クロスオーバーSUVモデルの「ハスラー」。
このモデルは軽ハイトワゴン「ワゴンR」のプラットフォームを使用し、トールワゴンスタイルを持ちながらも、高められた車高や大径タイヤを装着することでクロスオーバーSUVに仕立てられたもの。
当時はまだ軽自動車にクロスオーバーSUVというジャンルは浸透していませんでしたが、力強さと可愛らしさが共存し一躍大人気車種に。
老若男女問わず乗ることができるスタイルや、同社が誇る本格クロスカントリーモデルである「ジムニー」が欲しいけれど、3ドアは使い勝手がちょっと…と悩んでいるユーザーにとってはピッタリの1台で、他メーカーからも同じコンセプトのモデルが登場するまでに至りました。
そんなハスラーは2013年10月に開催された第43回「東京モーターショー」の会場でワールドプレミアがなされ、その後発売となったのですが、同じ会場にもう1台のハスラーが存在していました。それが「ハスラークーペ」なるモデルです。
発売前のモデルをベースに派生車種が登場するのは異例ですが、このハスラークーペは“クーペ”と名が付くように、ハスラーをベースとして車両後端をなだらかに傾斜させてクーペ風のシルエットとしたもの。
パワートレインなどはハスラーと同様で、ボディサイズも軽自動車枠の中に納まっているものとなっていましたが、全高は1630mmとハスラーよりも35mmダウンしており、フロントガラスの部分からすでにハスラーより低くなっていることを示唆していました。
基本的なデザインはハスラーを踏襲していますが、前後ライトのベゼルのデザインやバンパーの形状、サイドパネルの大きさなどもハスラーとは異なる意匠となっており、単にハスラーの屋根を低くしただけではないということをアピールしていたのでした。
またリアドアのハンドルはピラーに埋め込まれて一見するだけでは目立たないような処理となっており、2ドアを思わせるスタイルとなっていた点も特徴。
Cピラーの傾斜も通常のハスラーよりも明らかに寝かせてあり、スタイリッシュさに磨きがかかっていのも特徴です。
残念ながらハスラークーペ自体は市販化には至りませんでしたが、リア下がりに見えるルーフ形状や両端が切れ上がったバンパー、大型サイドパネルなどは2017年12月に登場した「クロスビー」に受け継がれているようにも思え、このときのユーザーの反応は生かされたと言えるかもしれません。