台風やゲリラ豪雨など、短時間で大量の雨が降った時に道路が冠水することがあります。冠水路を走るとクルマが壊れるといいますが、それはなぜなのでしょうか。
■冠水路の走行は危険すぎる! ハマったらどうする?
ゲリラ豪雨が起こると道路が冠水することがあります。そんな冠水路を走行した場合の危険性として、クルマが停止してしまうことが挙げられます。
なぜクルマが動かなくなってしまうのでしょうか。
冠水路を走行した際にクルマが止まってしまう理由のひとつが、「エンジンの吸気口が水でふさがれること」です。
クルマのエンジンは、外部から取り込んだ空気をガソリンと混ぜて燃焼させることで動力を得ています。そのため、空気の取り入れ口が水でふさがれると動かなくなってしまうのです。
吸気口はクルマの高い位置にあり、簡単には水が入らないようになっています。
吸気口自体も多少の水であれば対応できる仕組みですが、水位の高い冠水路を走行すると、吸気口の位置まで水しぶきが上がり、大量の水が吸気口の中に入ることがあります。
そして吸気口からエンジン内部まで水が侵入してしまうと、エンジンが故障し、停止。その場から動かせないだけでなく、多額の修理費用も必要になる最悪のケースです。
また、マフラーが水でふさがれ、排気ガスを外に出せなくなることでもエンジンが停止します。
吸気口と同様に、水位によっては大量の水がマフラーの中に入り込み、エンジンにダメージを与えることがあります。
ほかにも、電装品が水でショートして走行不能になるケースもあり、冠水路の走行は危険なことだらけなのです。
冠水路でクルマが止まるのを避けるには、そもそも「冠水路を走行しない」のがベストな選択です。ゲリラ豪雨で激しい雨が降った際は、アンダーパスなど低い位置にある道路へ迂回するなど、リスクを避けましょう。
走行中にゲリラ豪雨に遭遇し、その道路が一気に冠水してしまうなど、「どうしても水がたまった道路を通らなければならない状況」では、極力「速度を落として走行する」ようにしましょう。
JAF(日本自動車連盟)が過去に実施した「冠水路走行テスト」では、セダンで水位30センチの冠水路を走行した場合、時速30キロではエンジンに大量の水が入り、時速10キロではフロントグリルから直接水が入ることがなかったという結果が出ています。
速度が高いとそれだけ水が高い位置まで巻き上がり、エンジンに水が入る可能性が高まることから、スピードを出して水しぶきを上げながら走行するのはNGです。
万が一、冠水路を走らざるを得ないケースでは、できるだけ速度を落としましょう。
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冠水路を走行するのは非常に危険な行為です。もし急な雨に遭遇してしまったら、早めに高い場所に避難したり、冠水しそうな低い位置にある道路を避けたりしてください。