現在、クルマのなかで音楽を聴くにはスマートフォンを介する方法が普及していますが、かつてはカセットテープやCD、MDなど、さまざまな記録媒体を使用していました。そんな古い記録メディアの音楽を今でもクルマで聴くことができるのでしょうか。
■車内で音楽を聴く方法、どう変遷した?
クルマのなかで音楽を聴くデバイスは時代とともに移り変わっており、現在はカーナビまたはディスプレイオーディオにスマートフォンやデジタルオーディオプレイヤーを連携させる方法が普及しています。
かつてはカセットデッキやCDプレイヤー、MDプレイヤーなどを搭載し、カセットテープ、CD、MDといった記録媒体を用いた方法が一般的。純正でCD/MDプレイヤーを搭載する車種も存在したほか、「1DIN」のカーオーディオを装着して音楽を聴いていたという人も多いでしょう。
当時のカセットテープやCD、MDを捨てられずに残してあるという人がいるかもしれませんが、現代のクルマの純正オーディオでは挿入口すら廃止されたものも存在。
そこで、あえて古いカーオーディオを装着してCDやMDを聴くことはできるのでしょうか。
現役整備士のT氏に聞いてみました。
「新しいクルマに古いカーオーディオを装着するだけだったら可能ですが、ディスプレイオーディオとの連携は難しいかもしれません。
オーディオレス車はまだ取り付けしやすいですが電源など配線が別経路となり、ヒューズの容量も換えなければいけなくなります。
オーディオレス車はまだ取り付けしやすいのですが、やはりスマホを使って接続するほうが手軽だと思います」
では逆に、古いクルマで最新のディスプレイオーディオなどにアップグレードすることは可能なのでしょうか。
「サイズさえ適合すれば最新のディスプレイオーディオの搭載は可能です。
ただし純正ナビ装着車はコンピュータとも連動している関係で、取り外しが面倒です。
光学メディアを使わずにオーディオを楽しみたいのであれば、音質は低下しますが『FMトランスミッター』経由でFM視聴するのが手っ取り早いでしょう」(T整備士)
FMトランスミッターとは、音声信号をFMラジオの周波数帯の電波に変換して送信する機器。接続機器の音声を車内のFMトランスミッターに入力し、そこから電波を送信して、カーラジオのアンテナで受信するという超短距離で完結する仕組みです。
基本的にFMトランスミッター自体には音楽データは内蔵されておらず、別途音源を用意する必要があるのですが、スマホやデジタルオーディオプレイヤー、あるいはフラッシュメモリやCDプレイヤーなどを接続して使用します。
一方で、車載のCDプレイヤーやMDプレイヤーが故障した場合、どう対処すべきなのでしょうか。
「CDプレイヤーはまだしも、MDプレイヤーなどはおそらく在庫不足で交換自体が難しいでしょう。
それならば社外品の別のオーディオに交換したほうが、今後の利用も考慮すると便利だと思います」(T整備士)
※ ※ ※
CDやDVD、ブルーレイといった光学メディアは、カーオーディオでは使われなくなっていくのはしかたがないといえます。
最近リバイバルブームでカセットテープが見直されていますが、よほどのこだわりがない限り、ディスプレイオーディオに換装したほうが良さそうです。