高速道路にある「スペース」について、SNSなどではさまざまなコメントが寄せられています。
■「謎スペース」 非常時以外の停車は「ぜんぶ違反」です
高速道路などで、道路脇にクルマが停車できる「謎のスペース」が設けられているのを見かけることがあります。
このスペースについて、SNSなどでは適切でない利用方法を見かけたという声が多く寄せられています。
高速道路にある、クルマが停車できそうなスペースは正式には「非常駐車帯」と呼ばれます。
NEXCO東日本によると、「故障車・緊急車両・道路管理車両などが停車することを目的に、道路の路肩に設置されている」としています。
非常駐車帯の設置場所は、土工部や橋りょう部では約500m、トンネル内では約750mの間隔で設けられています。
ただし、パーキングエリアなどと違い、気軽にクルマを停めていい場所ではありません。
原則として高速道路では、道路交通法第75条の8第1項により「本線や路肩を含めて駐停車禁止」と定められ、この非常駐車帯においてもその例外とはなりません。
NEXCOの担当者も過去に「トイレに行きたくて我慢できないというような私的な事情で、むやみに非常停止帯を利用して停車することは推奨しません」と説明しています。
もし高速道路上で停車してしまうと、駐停車違反として違反点数3点と普通車であれば1万8000円の反則金が科される可能性があります。
一方で、事故や故障といった、やむを得ず停車しなければならない場合には非常駐車帯を利用することができます。
その場合、他のクルマの通行を妨げないように停車させ、後続車に停止車両の存在を知らせるため、ハザードランプを点灯し、クルマの後方には発炎筒や三角表示板を設置することが望ましいでしょう。
また、道路脇に設置されている非常電話や携帯電話などから道路緊急ダイヤル「#9910」または110番に通報することが必要です。
なお、非常駐車帯であっても安全とは限らず、後続車から追突される危険性があります。
実際に、非常駐車帯での停車中、あるいは非常駐車帯からの発進時に、後続車から追突される事故が発生しています。
特に夜間では昼間よりも周囲が見づらくなることから、停止車両のテールランプを走行中の車両と勘違いして、後続車が追突してしまうことも考えられます。
事故や故障などで非常駐車帯を利用する際は、必ず停車していることを後続車に知らせるとともに、早めにクルマから離れて、ガードレールの外側など安全な場所に避難することが大切です。
■実際には「不適切な利用」もかなり多し…
非常時を除き、原則として利用してはならないと定められている非常駐車帯ですが、なかには不適切な利用例もあるようです。
SNSなどでは、そうした不適切な利用例を見かけたとする投稿がみられます。
主に、「首都高走ってるとこのスペースに車停めて用を足してる人ををたまに見かける。
然るべき厳重注意を行って貰いたい」「名古屋高速の非常駐車帯でトイレなのか停まってるヤツを見たことがある。車は営業系のバンだった」など、どうしてもトイレに行きたくなってしまい非常駐車帯に停車と思われる事例が多いようです。
さらに、「非常駐車帯で仮眠していたらパトカー来て、注意されました」「どうしても眠いのかトラックがとまってる時があるね」「非常駐車帯に停まってるレンタカーいるからなにかを思ったらスマホいじってた」など、急な眠気や携帯電話の操作のために停車しているとみられる例もあるようです。
当然これらの場合は不適切な利用といえ、停車してはなりません。次のSA/PAまで走行するか、事前に最寄りのICから一般道に降りて駐車場を探すことが必要です。
トイレに行きたくなりそうな場合は事前に済ませておくことや、腹痛がある場合は落ち着いてからクルマに乗るといった判断も重要です。
眠気がある場合は絶対に高速道路に乗らず、無理せず近くの駐車場付きの施設で休憩することが大切です。携帯電話での連絡も事前に済ませましょう。
一方で、こうした事例以外に、非常駐車帯を正しく活用できた例もあるようです。
「クルマがオーバーヒートしたのですが、目の前に非常駐車帯があったのが不幸中の幸いでした」「落下物を踏んで左後輪がお亡くなりに…咄嗟の判断で即非常駐車帯へ退避したのでバースト等も無く、タイヤ交換のみで事なきを得る事ができました」と、走行中の急なトラブルで利用した人も散見されます。
予測できない車両トラブルもありますが、トラブルのなかにはクルマのメンテナンス不足に起因するものもあります。
こうした事態を避けるためにも、定期的な点検やメンテナンスを行い、愛車に異変を感じたらSA/PAに早めに退避したり、調子の悪い愛車での移動は避けるといった判断も重要です。