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悲願のクラス初優勝!LEG6で見せた「FLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYOTIRES」の走りに感動の渦が起こった!【AXCR2024レポート Vol.9】

くるまのニュース 2024年8月19日 19時40分

世界一過酷と言われるラリー競技、アジアクロスカントリーラリー(通称AXCR)の本番が8月12日(月)から始まりました。5年ぶりの参戦となるランドクルーザー専門店「FLEX」のチーム「FLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYOTIRES」の戦いを追いかけます。

■今までの過酷な日々さえも懐かしく感じる…ついに最終SS開幕!

 アジアクロスカントリーラリー(通称AXCR)もついに最終日のLEG6となりました。競技中の一日はとても長いのですが、こうやって最終日になってみると不思議と短く感じられ、過ぎ去ったレースが懐かしく感じてくるから不思議なものです。

 前日のLEG5、最終のSS6スタート時点で、同クラス1位との差は20分になっていました。最終ステージは今までのSSよりも距離が圧倒的に短い90kmのSSなので、この差を縮めるのは簡単ではありませんが、チームは全力を尽くして挑む覚悟です。

 LEG6の険しい森林コースと高リスクのハイスピードプランテーションエリアを攻略し、20分の差をどれだけ埋められるかが、最終的な順位を左右する鍵となります。この最後の戦いに、全員が一丸となって挑みました。

6日間に及ぶ競技でダメージが蓄積されたランドクルーザープラド

 LEG5でランドクルーザープラドが受けたダメージを、中央自動車大学校の学生メカニックとフレックスメカニックは、その夜のうちに修復を完了させました。割れたリアガラスの簡易修理や、窓が割れたことで室内に侵入した砂の徹底的な除去、そして各部の点検整備を行い、車両を最終ステージ決戦仕様になるよう完成させ、万全の状態で送り出しました。

 現地でおこなった可能な限りの改修で出撃したランドクルーザープラドは、ボディ各部に傷や割れ、パーツの脱落、ガムテープでの簡易的な補修と決してきれいな状態ではありませんでしたが、その姿には機能美にも似たかっこよさがありました。

LEG5からは哀川翔総監督も合流し、チームの士気はさらに高まっていた

 チームのクルーもこれまでの戦いの疲れがピークに達している中、その全員が祈るような気持ちでゴール地点で待機し、チームの成功を信じて見守っていました。

 最終日LEG6のSSでは、最後まで気を緩めずに走り切れるかが最大の試練です。各チームとも疲労がピークに達していてミスが続出する中で、冷静さを保ちながらも全力で攻め切る必要があるので、ほんの一瞬の気の緩みが、これまでの努力を全て無駄にする可能性もあるのが最終ステージの恐ろしさでしょう。

高速でクリアする必要のあるカーブが連続するSS区間 このような路面は川畑選手が最も得意とするところだ

 ドライバーの川畑真人選手、コ・ドライバーのデイチャポン選手、そしてチームの全員が集中力を最大限に高めて、ゴールを切る最後の一秒まで戦い抜く覚悟が求められます。このステージは、精神力と技術の真価が問われる瞬間です。

 LEG6のSSでは急なカーブが連続で続く高速区間があり、ここでは特に車両のコントロールテクニックが試されますが、ドライバーの川畑選手はそんな難所でも安定したハンドリングを見せました。

■最後の最後でまさかの大逆転! チームは悲願のクラス初優勝へ

 荒れた路面での激しいスピードにもかかわらず、車両はしっかりと路面の凹凸に張り付き、コーナーを一つ一つ確実にクリアしていきます。前半戦で不調だったサスペンションを後半戦に向けて大幅アップデートした効果がこのステージでは顕著に現れました。

後半戦に向けて競技中にアップデートした足回りが高い戦闘力を見せる!

 その結果、前半戦で連日行った調整とメンテナンスの成果が如実に現れ、車両は揺るぎない安定性を保ち続けました。この安定した走行が、最終ステージでの勝利への希望をつなぐ重要な要素となりました。

 また、車両の走行性能だけではなく、川畑選手の腕がこの最終ステージでは特に光りました。まるでラリー前半戦の呪いを全てなぎ払うような研ぎ澄まされた走りは、急な連続カーブや高速区間が続く難所で発揮されました。

LEG5で受けたリアガラス&スポイラーの脱落もこの日の競技開始までには補修されていた

 安定した車両コントロールと正確なライン取りにより、一切のミスがないまま車両を操り続けることができる彼の経験と技術が、チームにとって大きな力となり、最終ステージでの戦いを優位に進める原動力となったのです。

 コ・ドライバーのデイチャポン選手は、わずかなミスも許されないプレッシャーの中で、ロードマップをしっかりと握りしめ、集中力を極限まで高めていました。彼の冷静なナビゲーションと的確な指示が川畑選手の走りを支え、複雑なセクションでもミスを最小限に抑えることができました。

 この最終ステージでは、デイチャポン選手の緻密な準備と集中力も、チームの成功を左右する重要な要素となっていたことは明らかです。

ゴールライン手前で日本の国旗。最後まで誰が勝利したのか分からない!

 最終ステージの終盤、チームは驚異的な追い上げを見せ、ついに先頭との差を2分以内にまで縮めました。ゴール手前ではトップチームとほぼ僅差の接戦が繰り広げられ、緊張感が一気に高まります。

 ゴールラインを越える瞬間が迫り、勝敗の行方は誰にも予測できない状況になったのです。果たして、この激闘の末に栄冠を手にするのはどちらのチームか――その答えは、今まさに明かされようとしています。

勝利が確定した瞬間ーーチーム全員から大きな歓声が上がった! 5年前の雪辱を果たした瞬間だ

 激闘が繰り広げられた最終SSが終わり、どちらのチームが勝利を勝ち取ったのかわからないまま、オーバーオールというトータルタイムが運営から発表されます。

 全員が固唾(かたず)を飲んで見守る中、オーバーオールが発表されました。その瞬間–チームの全員から大歓声が上がりました。まさにドラマのような大逆転劇で、われわれFLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYOTIRESは悲願の「T1G」クラス初優勝を果たしたのです。

 FLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYOTIRESは、最後の最後でトップチームと2分の差をつけました。この勝利は、ドライバー、ナビゲーター、サービスクルー、そしてチーム全員が一丸となって成し遂げたものです。長い長い戦いの果てにつかんだこの栄冠は、何物にも代え難い最高の贈り物でした。

 なお、総合順位では12位の好成績を収めており、メーカーやワークスチームが多数参戦しているAXCR2024では大健闘の成績と言って良いでしょう。

この勝利はチーム全員で勝ち取ったもの だからこそ感動がより大きい

 5年越しの参戦で勝ち取ったこの栄冠は、まさにチーム全員の努力の結晶と言えるでしょう。最終SS6で起きた奇跡は、ドライバーの卓越した技術だけでなく、サポートクルーの絶え間ない努力と献身が生み出したものであり、チームの強さと団結力が明らかになった瞬間です。

 5年前に参戦したアジアクロスカントリーラリーでは、惜しくもクラス2位という結果になり悔しい思いをしましたが、FLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYOTIRESはついにその雪辱を果たしました。今回のクラス優勝は、長年の努力と執念が実を結んだ瞬間であり、チームにとって格別の勝利となりました。

FLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYOTIRESの挑戦はまだ終わらない!

 哀川翔総監督は今回の勝利について「チームが一つになったからこそ、勝ち取れた勝利です。アジアクロスカントリーラリーを2011年から始めて、ようやくつかんだ勝ち星。まずはみんなにお疲れさま、そしてありがとうと言いたい」と語りました。この言葉には、長い年月をかけて積み重ねてきた努力と、チーム全員への感謝の気持ちが込められています。

  全9回にてお送りしたアジアクロスカントリーラリーの参戦レポートも、今回で終わりとなります。しかし、まだまだチームの旅は続きます。

 次は、2024年9月6日から8日にかけて北海道十勝エリアで開催されるラリー北海道の「XCRスプリント」に出場します。この新たな挑戦に向けて、チームはさらに結束を強め、次の舞台での勝利を目指していきますので、これからもFLEX SHOW AIKAWA Racing with TOYOTIRESの応援をよろしくお願いします。

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