コンビニやスーパーといった店舗の駐車場では、お店を利用していないにもかかわらず長時間駐車をしているクルマが散見されます。SNS上においても警告文を貼られた無断駐車車両の写真がたびたび投稿され、話題を呼んでいます。店舗側が勝手に移動させることはできないのでしょうか。
■過去には警告文250枚以上を貼られた無断駐車車両が話題に!
SNS上ではたびたび、コンビニの駐車場などにおける長時間の無断駐車が問題視されています。
では、一体どのように対処すべきなのでしょうか。
SNS上ではたびたび、コンビニの駐車場などにおける長時間の無断駐車が問題視されています。
では、一体どのように対処すべきなのでしょうか。
コンビニやスーパーといった店舗の駐車場では、お店を利用していないにもかかわらず長時間駐車をしているクルマが散見されます。
SNS上においても警告文を貼られた無断駐車車両の写真がたびたび投稿され、話題を呼んでいます。
過去には、牛丼チェーンの駐車場で長期間無断駐車をしていたクルマに対し、従業員が250枚を超える警告文を貼り付けたほか、クルマのホイールにも丸めた警告文を差し込むなどして物議を醸しました。
この件についてはインターネット上で「これはやり過ぎ」という声が上がった一方、「そもそも無断駐車をしなければこんなことは起きていない」「これくらいやらないと無断駐車した側が危機感を持たないと思う」など、従業員の行動を支持する意見も多く聞かれました。
店舗の駐車場に無断駐車をされると他の利用者が駐車できなくなってお店の損失につながるほか従業員も手間をとられることから、世間では厳しい目が向けられているといえるでしょう。
しかし駐車場への無断駐車は公道ではなく私有地のため、警察が交通違反として取り締まったり、レッカー移動させたりできないのが現状です。
では、無断駐車をされた場合にどのような対応をとるべきなのでしょうか。
まず大前提として、無断駐車のクルマにタイヤロックを付ける、勝手にレッカー移動をするといった強制的な方法をとってはいけません。
このような行為は、私人が司法手続によらず実力行使で自分の権利を実現する「自力救済(じりききゅうさい)」と呼ばれ、禁止されています。
もし仮にタイヤロックやレッカー移動などでクルマを使用できない状態にすると「器物損壊罪」に問われる可能性や、所有者からクルマを使用できなかったことによる損害賠償請求をされるおそれもあります。
自力救済の禁止は無断駐車をされた側にとって到底納得できるものではありませんが、感情的にならず冷静に対処すべきといえるでしょう。
その具体的な方法として、クルマに警告文を取り付けることが挙げられます。
警告文には「駐車はご遠慮願います」「警察に通報します」といった内容を記載するケースも多いですが、「弁護士が所有者を特定し、損害賠償請求します」と強めの言葉で注意することも効果的です。
なお警告文を取り付ける際は、クルマに傷が付かないようワイパーに挟む方法が良いでしょう。
これはガムテープなど粘着性の強いもので貼り付けると、剥がすときに塗装が剥げてしまい所有者からクルマの修理代を請求されてしまうことがあるためです。
さらに警告しても無断駐車を繰り返す場合には、クルマの所有者を特定して損害賠償請求を検討する方法もあります。
あまり知られていませんが、私有地に無断駐車された際には最寄りの運輸支局または自動車検査登録事務所において「登録事項等証明書」の交付請求手続きをすることで所有者を特定できます。
ただし、この手続きに際しては車両のナンバーや車両が放置されている場所、放置期間などの情報のほか、見取図や放置車両の写真が必要になります。
加えて、書類に証明書を請求する理由や請求者の氏名・住所などを記入しなければいけません。
その後クルマの所有者の住所・氏名が判明すれば、損害賠償を求める内容証明を送付し、訴訟を起こすなどの手続きに移行します。
過去の裁判では、1年半以上ほぼ毎日コンビニの駐車場に2台のクルマを無断駐車し続けた男性に対し、損害賠償として裁判所が約920万円の支払いを命じた事例もあります。
とはいえ、クルマの所有者を特定したり裁判を起こしたりすることは非常に労力を必要とする上、弁護士に依頼すれば金銭的な負担も大きくなってしまいます。
そのような状況の中、無断駐車をさせないための対策としてコインパーキングと同様のロック装置や、1台1台の駐車時間を管理するランプなどを導入しているコンビニもみられました。
※ ※ ※
現状、コンビニをはじめ私有地への無断駐車に対しては強制的な措置をとることが難しく、警告文や法律にのっとった正式な手続きが必要です。
無断駐車は「やられ損」とも言われており、法律の見直しを求める声も少なくありません。