クルマのジャンルの一つである「スポーツカー」。“なんだか速そう”というイメージがありますが、それ以外のクルマとは何が違い、どのようにしてその特性を実現できているのでしょうか。
■実際のところ「スポーツカー」って何?
クルマのジャンルを語るとき、「スポーツカー」という言葉でカテゴライズされるクルマがあります。
スポーツカーというと、“なんだか速そう”というイメージがありますし、実際に俊敏に動いたり高速走行が得意なクルマとなっているモデルが多数。
しかしスポーツカーとそれ以外のクルマとの根本的な違いはどこにあり、一体なぜスポーツカーはそのような特性を実現できているのでしょうか。
これについて、1989年に初代モデルが誕生し、世界的にも人気を誇るスポーツカー「ロードスター(海外名:MX-5)」を開発・生産し続けているマツダに話を聞いてみたところ、ロードスター開発主査の齋藤茂樹さんから以下のように回答をいただきました。
「マツダにとってスポーツカーといえば、ブランドアイコンであるロードスターです。
ロードスターというクルマは、世界の自動車産業史の中でも大事なクルマの一つであると信じています。
それは、“手頃に乗れ、軽量で、オープンエアとともにクルマを操って楽しめるスポーツカー”であることにひたすらこだわり続けてきたクルマだからです。
そしてロードスターはスポーツカーですが、絶対的な速さではなく、誰もが気軽に楽しめる気持ちの良い走り、まさに人馬一体の“人がクルマを楽しむ感覚”を重視してきました。
とくにドライビングの領域でクルマを意のままに操る気持ちよさと、ドライバーがクルマのポテンシャルをフルに引き出しながら、自分の体の一部のように意図どおりに動かしている感覚のさらなる進化に注力しています。
“軽量、コンパクトであること”。これは初代モデルの開発から守り続けてきたロードスターの基本要件です。軽さこそがロードスターの楽しさの原点だと考えているからです」
この齋藤さんの回答によればスポーツカーの特徴は、軽量・コンパクトであるように設計され、「人がクルマを楽しむ感覚を大事にしながら造られたクルマ」ということになるでしょうか。
また、ロードスターの開発について以下のようにも述べられています。
「現行ロードスター(ND型)の開発では、車両の全面的な新設計に伴い、抜本的な軽量化に取り組んでいます。
ボディやシャシ、エンジンなど、各領域の理想構造を追求した最新のスカイアクティブ技術を採用し、最適な機能配分とコンパクト化、構造革新、アルミや軽量材料の適用拡大を実施しました。
同時に、マツダの歴代スポーツカーが取り組んできた、車両すべての部品をグラム単位で見直し軽量化を行うという“グラム作戦”も遂行しています。
スポーツカーの楽しさの本質は、スピードやパワーではなく、“いつでも、どこでも、誰でも、“笑顔”になること”と私たちは考えており、スポーツカーには速さ以外にもさまざまな切り口で、乗る人が“楽しい!”と思える選択肢があります。
ぜひいろいろなスポーツカーに試乗してみて、“自分にはこれが一番楽しい!”と思える1台を見つけ出してみてください」
このように、“少しでも軽く”を実現することで軽やかさと機敏性を身につけ、ドライバーの思いどおりに動くモデルへと仕上げていることが、マツダの考える「スポーツカーの本質」であり、それを具現化したモデルがロードスターと言えるのでしょう。