トヨタが「第39回ニュルブルクリンク24時間耐久レース」で初公開した試作車「GRMNスポーツハイブリッドコンセプトII」。同車は今見てもユニークで魅力的なモデルでした。
■トヨタの凄い「オープンMRスポーツカー」
トヨタは2011年に開催された「第39回ニュルブルクリンク24時間耐久レース」の場で、「GRMNスポーツハイブリッドコンセプトII(以下、GSHC 2)」という本格的なスポーツモデルの試作車両を初公開しました。
同車は、一体どのようなクルマだったのでしょうか。
このGSHC 2は、ハイブリッドシステムを搭載したオープン・ミッドシップスポーツカーのコンセプトモデルであり、実走行の可能な試作車両です。
2010年の「東京オートサロン2010」で発表された「GRMNスポーツハイブリッドコンセプト」の進化版にあたり、その構造はトヨタのミッドシップオープンスポーツカー「MR-S」をベースに採用。
ミッドシップ・レイアウト特有のハンドリングや回頭性の良さにくわえ、フロントホイールをモーター駆動とした「4WD化」により、速さと安定性も獲得していました。
そのボディサイズは、全長4350mm×全幅1890mm×全高1200mmとなっており、コンパクトながらもワイドな車体がスポーティさを強調します。
スタイリングは、ベース車がMR-Sと分からないほど一新され、往年の名車「トヨタスポーツ800」を彷彿とさせる美しいデザインに変貌。
一方で、内装の大部分はMR-Sのものがそのまま流用していますが、センターコンソールやハンドル、シートは独自の仕様に変わっており差別化を図りました。
パワーユニットは、トヨタ「クラウン」などにも搭載された最高出力249馬力の3.5リッターV型6気筒エンジン(2GR-FXE)をミッドに搭載。
フロントのモーターと組み合わせ、システム最高出力299馬力を発揮します。
またトランスミッションはCVTで、駆動方式は先述のように4WDです。
このGSHC 2は、MR-Sのオープンボディを引き続き採用したことで、EV走行時には静かな自然の音や空気までも楽しめる、新時代のスポーツカーを体現した魅力的なモデルとなっていました。
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このGSHC 2についてトヨタは当時、「1997年、他社に先駆けて量産型ハイブリッド車を市場導入したトヨタは、従来からハイブリッド技術のレース車両、スポーツカーへの応用を積極的に研究。今回の車両も、その一環と位置付けている」と説明。
デザインレベルと現実味の高さから、同車には市販化の期待も高まりましたが、その後は目ぼしい続報はなく、現在も市販化には至っていません。
しかし、登場から10年以上経った現在でもGSHC 2は全く古さを感じさせず、今でも量産・発売を求めるファンの声が見られることから非常に魅力的なモデルだったと言えるでしょう。