日産のクロスオーバーSUV「ムラーノ」にはかつて、2ドア・4人乗りのオープンモデル「ムラーノ クロスカブリオレ」が存在していました。世界でも珍しいオープンSUVについて紹介します。
■日産の斬新な「SUV×オープンカー」
クルマのボディ形状には「セダン」「SUV」「ミニバン」「クーペ」「オープンカー」など様々なタイプが存在しますが、日産は過去にそれらを斬新に組み合わせた「異色のモデル」を量産し市販化していました。
それが、世界初のAWDクロスオーバー カブリオレとうたわれる、「ムラーノ クロスカブリオレ」です。
ムラーノ クロスカブリオレのベースとなったのは、2008年にフルモデルチェンジし登場した2代目「ムラーノ」。
同車は大柄なボディと近未来的なスタイリングが高く評価され、日本市場にも導入されました。
日産の米国法人(以下、日産)は、このムラーノを用いて、世界でも珍しい“SUVのオープンカー”を開発し、しかも通常ラインナップとして発売したのです。
そんなムラーノ クロスカブリオレは、2010年に米国でされた「ロサンゼルスオートショー」で世界初公開。
当時日産が発表したニュースリリースには「世界初のAWDクロスオーバー コンバーチブル」だと記されました。
ジープ「ラングラー」やトヨタ「ランドクルーザー70」など、ラダーフレームを採用した本格的なクロスカントリータイプの四輪駆動車には、過去にもオープントップ仕様が存在していましたが、ムラーノのように乗用車的なモノコックのSUVにおけるオープンボディは極めて斬新な存在だったため、ムラーノ クロスカブリオレは発表直後から世界的な注目を集めます。
また、同車は単純にクローズドタイプのムラーノの屋根を切り落とした簡単な造りのモデルではありませんでした。
通常のムラーノが5ドア・5人乗りのボディ形状なのに対し、ムラーノ クロスカブリオレは2ドア・4人乗りへと構造を大変更。
この贅沢な専用ボディに電動開閉式のソフトトップと組み合わせ、通常モデル以上にエレガントでゴージャスなモデルへと仕上げられているのです。
さらにインテリアは、キルティング処理が施されたプレミアムレザーを標準装備。
内装色はブラックのほか、オプションでブラックトップ×ブラウン内装や、ブラウントップ×ライトブラウン内装が選択できました。
独立したトランクは、オープン時でもゴルフバッグ2セット、もしくは機内持ち込みサイズのスーツケース2つが収納可能で、実用性もしっかりと確保。
搭載するパワーユニットは、通常モデルの最上級グレードと同じ3.5リッターV型6気筒エンジンで、最高出力265馬力・最大トルク248lb-ftを発揮し、巨大なボディを軽々と加速させました。
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このように異色の存在だったムラーノ クロスカブリオレでしたが、2015年に2代目ムラーノの生産が終了するタイミングで、モデルチェンジすることなくラインナップから姿を消しました。
また、日本には導入されなかったムラーノ クロスカブリオレでしたが、米国から並行輸入業者によって持ち込まれ、運が良ければ日本の街でも走っている姿や、中古車サイトで販売されている様子を発見することが可能です。
ちなみに、この後ランドローバーがレンジローバー「イヴォーク」に、そしてフォルクスワーゲンが「Tロック」にオープンカー仕様を用意し市販化するなど、SUVをオープンカー化する事例が見られますが、最初にそれを実現した日産に先見の明があったことは間違い無いでしょう。