トヨタ「クラウンシリーズ」として国内投入される予定の新型「エステート」は、アメリカですでに販売され、人気を得ているようです。現地での評価はどうなのでしょうか。
■アメリカで先行販売されている「クラウンエステート」
本来なら2024年秋にトヨタ「クラウン」の新たなモデルとして、ステーションワゴンとSUVを組み合わせた新型「クラウンエステート」が発表される予定だったのだが、このところの認証問題により延期されてしまった。
現時点で新型クラウンエステートの認証が出るメドは立っていないらしく、年越しになる可能性も出ている。
そうなると生産を担当する工場のライン休止も余儀なくされ、大打撃を受けているかといえば、そんなことはないようだ。
というのも、新型クラウンエステートはアメリカで2024年6月から先行発売されているためである。日本向けに用意されていた生産ラインを使い、アメリカ向けモデルを生産しているというワケ。現地での車名は「クラウンシグニア」という。
156円の円安レベルなら、日本で販売するよりアメリカで販売する方がずっと利益率が高いのかもしれない。
改めて言うまでもなく、トヨタの場合、大半の車種で多くのバックオーダーを抱えている。日本で売れなければアメリカに持って行けばいいだけだ。
興味深いことに、アメリカ市場における新型クラウンシグニアの評価はなかなか高いという。
現地のメディアの試乗レビューを見ると、カテゴリーはレクサスと同じ「ラグジュアリー」だと紹介されているのだが、トヨタブランドより明らかに上ということだろう。
クラウンというブランドは、アメリカ市場ではトヨタの上級バーションという位置づけらしく、アメリカでの記事を読むと「レクサクに負けていない」や「上手な買い物をしたい人のレクサス」とまで紹介されています。
参考までに、アメリカではステーションワゴン人気が完全に去ってしまっている。だからこそスバルは「レガシィ ツーリングワゴン」を廃盤にして、SUVの「アウトバック」に一本化した。
そしてアメリカの皆さんは、クラウンシグニアをアウトバックのようなカテゴリーだと考えているようだ。
客観的に見ると、クラウンシグニアはツーリングワゴンとクロスオーバーの中間くらいに見えます。
気になるパワーユニットだけれど、「ハリアー」や「RAV4」に搭載されているシステム出力240馬力の2.5リッターハイブリッドのみ。
価格はスターティングプライスで約680万円(1ドル=156円換算)。売れ筋モデルの乗り出し価格は780万円くらいになる。
■燃費も乗り心地も走行性能もかなり良い!
すでにクラウンシグニアに関する試乗レポートも出回っており、驚くほど評価が高いことがわかる。
以下、アメリカでの様々なメディアの試乗レポートを、私のAIでまとめてみた。
「クラウンシグニアは全輪駆動を標準装備した高級なハイトワゴンです。『ハイランダー』(注・日本では販売されていないRAV4より大柄なSUV)ほど実用的ではありませんが、『クラウンクロスオーバー』よりキャビンスペースも広いです。
連続可変トランスミッション(注・トヨタのハイブリッドであるTHS II)と組み合わせたシステム出力240馬力の2.5リッターハイブリッド4気筒エンジンを搭載しています。
快適でレスポンスの良いパワートレインとなっており、燃費も良好。乗り心地は快適でコントロール性が高く、ハンドリングも優れています。
内装は上品で後部座席は広々としています。デジタル計器パネルは少し複雑ですが、インフォテインメント画面は分かりやすくまとめられました。
『XLE』と『Limited』の2つのグレードがあり、タイヤサイズ、オーディオシステム、内装のクオリティが違います。トヨタの最新のアクティブセーフティとドライバーアシスト機能が標準装備されています」
燃費はアメリカモのードで16.2km/Lと、ライバル車の大半が12km/L程度といったことを考えると、クラウンシグニアはこのクラスのSUVとしては驚くほど良い。
乗り味だけれど、多くのアメリカメディアが「レクサスに勝るとも劣らない」と評している。
レクサスとトヨタは開発チームが全く違い、テストドライバーだって違うのだが、ただトヨタのテストドライバーの皆さんと話をすると「レクサスに負けない!」と頑張っている。
実際、もはやトヨタとレクサスの決定的な差はないと思う。
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日本では、アメリカと同じようにクラウンクロスオーバーだとラゲッジスペースが少しばかり物足りないという声も多く、クロスオーバー系のステーションワゴンである新型クラウンエステートはけっこうニーズがありそうだ。
気になるのは日本での価格だけれど、クラウンクロスオーバーより圧倒的に上質なインテリアなどを考えれば、新型クラウンエステートは550万円を挟んだ展開になると予想しておく。