麻布で都心環状線から南へ分岐し、品川区戸越で国道1号に達する「首都高2号目黒線」には、さらに先へ伸びる延伸構想があります。いったいどんなルートで、話はどこまで進んでいるのでしょうか。
■中途半端な「盲腸線」が化ける!?
麻布で都心環状線から南へ分岐し、品川区戸越で国道1号に達する「首都高2号目黒線」には、さらに先へ伸びる延伸構想があります。
いったいどんなルートで、話はどこまで進んでいるのでしょうか。
首都高2号目黒線は1967年に開通。信号が多く混雑の激しい都心部の国道1号をバイパスし、ノンストップで郊外区間へ脱出させる役割を担っています。
他の大半の首都高路線とは異なり、片方が他の高速道路につながらずに一般道に下りて終わる、いわゆる「盲腸線」のようになっています。
しかし、荏原・戸越出入口でプツリと途切れている2号目黒線にも、延伸が構想されています。
2021年に国交省が策定した「新広域道路交通計画」では、未検討の「構想路線」として、円形を並べておおまかなルートが描かれています。
そのルートは、進路を南西へ向けて武蔵小杉方面へ進んでいくというもの。計画線が多摩川のあたりで途切れていることから、外環道の未事業化区間「東名~湾岸」に接続することが企図されていると思われます。
思えば、首都高は都心から各方面へ放射状に伸び、環状路線やその先の高速道路へ接続していく構造になっています。台場線・深川線は湾岸線へ、小松川線・三郷線・川口線・池袋線はそれぞれ外環道へつながっています。
しかし、都心の南西方面はそもそも環状路線が未完成となっています。外環道はまだ関越道から東名までつなげる工事が難航していて、そこから湾岸線方面は、まだ「多摩川の北岸ルートか南岸ルートか」すら決まっていない状況です。
もしこの外環道に目黒線がつながれば、品川区・大田区にとっては「信号ゼロで区内直結」という新ルートが誕生することになり、どこへ行くにも信号だらけという状況に、光明が見えることとなります。
気になる進捗ですが、外環道の将来を見据えて概略ルートの検討に入るとか、あるいはその前段階の「地元の機運醸成」という動きすら、特に見られません。具体的には、都議会や区議会、あるいは国会でも、このところ特に議論された形跡はありません。
まずは都の都市計画道路として検討対象に上がることが最初のステップとなります。東京都の多数の都市計画道路のうち、いまは「2025年度までに優先的に事業化していく」という「第四次事業化計画」が進められている状況です。もちろん2026年度以降は、その他の都市計画道路が事業化していくことになりますが、「2号目黒線」の機運がにわかに高まる可能性もゼロではありません。
というのは、「第四次事業化計画」でも、「今は都市計画道路にすらないが、都市計画決定していくべき構想路線」という別枠が挙げられており、決定され次第優先整備に指名される、といった「急浮上」の路線構想もあります。
外環道(東名~湾岸)のルート決定議論は、「東京外かく環状道路(東名高速~湾岸道路間)計画検討協議会」が、約3年8か月ぶりとなる2023年2月に再開され、機運が高まってきたかと思いきや、またそこからブランクが空いています。都もことし6月、国への要望書で「早く次の会議を開いてほしい」と、苛立ちを隠せていません。
果たして外環道最終区間の具体化とともに、「2号目黒線の延伸接続」の構想は実現に向かうのでしょうか。