高速道路を2023年にETC2.0の普及率は30%程度にとどまっており、普及が進んでいません。既存のETCとの違いが分からないという利用者の声もあるのですが、実際どのようなメリットがあるのでしょうか。
■「ETC2.0」メリットを感じない人が多いのはナゼ?
高速道路を走行するときに欠かせないのが「ETC」です。
「Electronic Toll Collection System」の頭文字をとった略称で呼ばれていますが、正式名称は「電子料金収受システム」。料金所で停止することなく通過できるシステムです。
高速道路を利用する人の9割以上がETCを利用しており、通常のETCと「ETC2.0」の2種類が存在します。
そして、全国の主要な有料道路事業者の統計によると、2023年(令和5年)にETC2.0の普及率は30%を超えたとのことですが、なかなか普及が進んでいないのが現状です。
ETC2.0の使い方は既存のETCと同じこともあり、「違いが分からない」という利用者も多いようですが、ETC2.0を利用するメリットにはどのようなことがあるのでしょうか。
広く普及している通常のETCは有料道路の料金収受機能に特化していますが、ETC2.0は大容量&高速の双方交通新機能を備えています。
具体的には、道路情報や渋滞情報の取得、迂回ルートの案内、場合によっては高速道路の一時退出が可能になるなど、さまざまな活用方法があります。
しかし実際にETC2.0車載器を装着してみたものの、メリットを感じにくいという声があるのはなぜなのでしょうか。
そもそもETC2.0は、対応するカーナビと連動することを前提としており、非対応のカーナビでは一部の機能しか使えません。
つまり、車載器をETC2.0に交換しても、既存のカーナビでは交通情報などの有益な情報を得ることができず、それがメリットを感じにくい理由となっているのです。
なお、カーナビが対応していない場合は、ETC2.0に対応したスマホのナビアプリで情報を入手するという手段もあります。
また、ETC2.0の利用で一部有料道路では料金割引なども実施されているのですが、対象となるのは圏央道と東海環状道の特定区間のみ。全国的に見ればまだまだといった印象もあります。
それでもETC2.0に交換したほうが良いのでしょうか。
新しい車種に搭載されるETC2.0対応のカーナビであれば、双方向通信機能を使った広域の渋滞情報に加え、災害発生時に役立つ機能を備えています。
たとえば地震や災害の発生を音声や表示などで注意喚起してくれ、さらにスマホでは得にくい緊急の規制情報や走行可能なルート、避難地情報なども入手可能。
最近では大地震だけでなく大雨による河川の氾濫や、山岳路などの土砂崩れなどの自然災害も多く発生しており、早くて正確な被災状況や走行可能な道路情報を得られれば、それだけ生存の確率を上げてくれる有益な情報ともいえます。
ほかにも便利な機能として挙げられるのが、「高速道路からの一時退出・再進入」でしょう。
これは指定されたICやスマートICから退出し、指定された道の駅に立ち寄り、2時間以内に同じICから入れば、継続して料金精算されるというもの。
高速道路の休憩所不足解消の策として導入されましたが、たとえばSAやPAが混雑している場合などに、道の駅で休憩するといった使い方ができそうです。
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現時点では既存のETCも利用可能ですが、サイバー攻撃などに対抗するため、システムのセキュリティ規格が変更され、今後は新規格に対応したETC車載器への変更が必要となります。
このセキュリティ規格の変更は、問題がなければ2030年までに移行する予定となっており、古い規格のETC車載器を使っている人は、機能が豊富な次世代のETC2.0へ早めに切り替えたほうがいいかもしれません。