今ではすっかり不人気のジャンルとなってしまったセダンですが、2000年前後まではまだまだ各社複数のセダンモデルをラインナップしていました。2000年4月に販売を開始したトヨタ「プロナード」もそんなセダンのひとつでしたが、どのようなモデルなのでしょうか。
■トヨタの“6人乗りセダン”「プロナード」とは
今ではすっかり不人気のジャンルとなってしまったセダンですが、2000年前後まではまだまだ各社複数のセダンモデルをラインナップしており、さまざまなユーザーをカバーしようとしていました。
2000年4月に販売を開始したトヨタ「プロナード」もそんなセダンのひとつで、全長4,895mm×全幅1,820mm×全高1,460mmというボディサイズは当時の「クラウン」をも上回り、セルシオに匹敵する大柄なもの。
またメカニズムがフロントに集約される前輪駆動レイアウトを採用し、立てられたサイドウインドウを持つビッグキャビンとしたことで、同クラスの車両をはるかに凌駕する広い室内空間を実現していました。
そしてエンジンは余裕の排気量を持つV型6気筒3.0Lの1MZ-FE型を搭載。
上級グレードではサンルーフや本革シートを標準装備とし、全グレードにナビゲーションやオプティトロンメーター、運転席パワーシートなどを標準装備し、かなり充実したものとなっていました。
そのため、トヨタはプロナードを「FF最高級セダン」として売り出していましたが、実はこのプロナード、北米地域で2代目「アバロン」として販売されていたモデルを日本向けにリファインしてリリースしたもので、北米で生産したものを輸入して販売する形が取られており、初代アバロンはそのまま日本でも“アバロン”の名で輸入販売されていた過去があります。
アバロン自体はそれまで北米地域で販売されていた「クレシーダ(日本名:マークIIセダン)」の後継車種として登場したということからもわかるように、実用的なミドルクラスのセダンとして登場しており、ボディサイズ以外は高級車と言うには少々苦しいものだったというのが偽らざるところです。
そんなアバロンですが、キャラクターは完全にアメリカの大型実用セダンいったもので、フロントシートが一般的なセパレートシートでセンターコンソールが備わるタイプのほか、コラムシフトで前席3人掛けのベンチシートとなったグレードが用意されており(乗車定員6名)、乗り味も日本市場向けに硬めていたと言われていますが、それでも古き良きアメ車のようなソフトな乗り心地となっていたため、おおらかな乗り味を好むユーザーには一定の評価を集めていました。
とはいえ当時のトヨタにはセルシオとクラウンという本格的な高級車の2トップが存在し、プロナードの販売チャンネルだったビスタ店にも「アリスト」や「クレスタ」というモデルが同価格帯に存在していたため、そこまでの人気車種となることは叶わず、2003年11月ごろに日本向けモデルの生産を終了。
その後のプロナードは日本へ導入されることはなく、北米向けのモデルも2022年モデルをもって終売となり、「クラウン(日本名:クラウンクロスオーバー)」にバトンタッチする形で姿を消しています。