TOYOTA GAZOO Racingは2024年8月22日、新型レーシングカー「GRスープラ GT4 EVO2」を発売しました。
■パフォーマンス、信頼性、操作性を向上
TOYOTA GAZOO Racing(以下TGR)は2024年8月22日、「GRスープラ」をベースにした新型レーシングカー「GRスープラ GT4 EVO2」(改良モデル)を発表しました。
同日より発売しています。
スープラは1978年の登場以降、ハイパフォーマンスな直列6気筒エンジンにハンドリングに優れたFR駆動を採用し、動力性能が評価されている2ドアスポーツカーです。
2002年にはいちど販売を終了しましたが、2019年にBMWとの共同開発によって復活。通算5代目となった現行型では「GR」の名称が用いられ、GRスープラとして発売されました。
このGRスープラをベースに、軽量化のための専用内外装や走行性能の向上、ロールケージなどの安全装備を装着し、レースカテゴリのひとつである「GT4」レースに参戦するためのモデルとして用意されるのが「GRスープラ GT4」です。
2019年3月に発表され、2020年に発売。開発・製造は欧州のトヨタモータースポーツ有限会社(Toyota Motorsport GmbH)が担当しています。
パワーユニットは3リッター直列6気筒ターボエンジンにZF製オートマチックトランスミッションを組み合わせ、最大トルク660Nmを発揮。最高出力はレギュレーション対応のため可変式です。
発売後はプライベーターチームなどに販売され、2024年7月末までの累計販売台数は120台に到達。
11の国と地域で開催されたGT4シリーズ戦および国際レースでは、500回以上の表彰台を獲得し、アジア・アメリカ・ヨーロッパの3地域ではクラス別シリーズチャンピオンになっています。
そうしたレースでの活躍を受け、TGRでは現場の声を直接ヒアリングし、これを元に改良を実施。
今回の新型GRスープラ GT4では、2025年シーズンに向け、パフォーマンス、信頼性、操作性を向上しています。
走行性能では、タイヤの種類、摩耗状況やコースコンディションに応じ、最適なブレーキング、およびコーナリングができるよう、様々なドライバーが日欧サーキットで走り込みをおこない、ABSのマップをきめ細やかに再チューニング。
さらに、ソフトのアップデートにより回転数制御のさらなる見直しを実施。シフトダウン時間を短縮しました。
これによりブレーキング時の減速コントロール性を改善し、コーナリングスピードの向上につなげています。
また、エンジン、ブレーキ、ドライブトレーンの各冷却性能の向上に加え、コックピット温度の最適化を図ることで、過酷なコンディションでも運転しやすく、高いパフォーマンスを維持し続けられように改善したといいます。
エクステリアは従来通りで、フロントスポイラーやリアウイングに天然繊維コンポジットを採用。車体の軽量化を実現しました。ホイールはOZ製18インチを装着しています。
インテリアも変化はなく、OMP製レーシングバケットシートやFIA認証の6点式シートベルト、ロールケージ、消火器を装備し、レースのレギュレーションに適合。
走行性能面では、アクラポヴィッチ製レース用排気システム+メタル触媒、DREXLER製レース用LSD、GKN製レース用ドライブシャフトを装備。KW製レース用調整式アブソーバーとブレンボ製レーシングブレーキ、ピレリ製レーシングタイヤを装備しました。
価格は20万2000ユーロ(約3276万円)で、2025年1月に開催される「デイトナ24時間レース」併催の「IMSAミシュラン・パイロット・チャレンジ」第1戦で世界デビューする予定です。