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「めちゃ小さい」のに500万円!? 超豪華な「コンパクトカー」が凄い! “日本の技術”が光る「極小モデル」は名門ブランド仕立ての「最高級仕様」

くるまのニュース 2024年8月28日 21時10分

「コンパクトカー」というと比較的リーズナブルな価格設定のモデルが大半ですが、過去には「プレミアム性」を追求し強いこだわりを持って開発された「超高級モデル」なモデルも存在しました。一体どのようなモデルなのでしょうか。

■超豪華な「極小コンパクトカー」が凄い!

 小さなボディサイズで扱いやすく、街乗りや日常使いにピッタリな「コンパクトカー」は、価格も比較的リーズナブルに設定となっていることが大半。
 
 しかしその一方で、「プレミアム性」を追求したコンパクトカーも少なからず存在し、なかには特に強いこだわりを持って開発された「超高級なモデル」もありました。

 そのクルマが、アストンマーティン「シグネット」です。

 アストンマーティンは、1913年に英国で設立した老舗の高級スポーツカーメーカーで、息を呑むエレガントなスタイリングや高級感の溢れるインテリア、そして大排気量でハイパワーなエンジンユニットなど、隙のない高品質なクルマ作りで知られています。

 このイギリスの上流階級に親しまれるアストンマーティンが、意外にも「コンパクトカー」を製造・販売していました。

 シグネットは、都市内を移動するためのコミューターとして開発された、極めて小さいコンパクトカー。

 ボディサイズは全長3078mm×全幅1680mm×全高1500mmと、一般的な軽自動車の全長(3395mm)よりも約30cm短い車体を採用します。

 この小さなボディに、最大4人が乗車可能という驚きのパッケージングを実現しており、その短さゆえに若干“ずんぐり”としたシルエットではあるものの、アストンマーティンの名に相応しい高い高級感を備えていました。

 またシグネットのフロントマスクには、同社のモデルに共通する「翼」モチーフのフロントグリルが鎮座し、さらにボンネットにも力強いダクトが2箇所取り付けられたことで、どこから見てもまさにアストンマーティンだと言える、立派な存在感を放ちます。

 そんなシグネットですが、実は完全オリジナルで開発されたクルマというわけではなく、車体の基本にはトヨタのコンパクトカー「iQ」を使用。

 両社のコラボレーションの実現には逸話があり、軽自動車より短い車体に安全性と実用性を備えたiQに感銘を受けたアストンマーティンが、トヨタに車体やパーツの供給を打診。

 供給を受けたアストンマーティンによって超豪華仕様に仕立て上げられたモデルとして、シグネットが誕生したといいます。

 その経緯もあって、シグネットに搭載される1.3リッター直列4気筒エンジンや6速MTのトランスミッションはiQと同一のもの。

 しかし、ただ見た目を変えたモデルということではなく、遮音材の追加や、エンジンやトランスミッションのマウントを専用設計とするなど、シグネットでは静粛性が大幅に高められています。

 また、シグネットはOEM車ではなく生産もしっかりアストンマーティンの本社ゲイドンで行われており、正真正銘のアストンマーティンとなるべく設計・生産されました。

 そしてアストンマーティンの真骨頂といえるのが、シグネットの豪華な内装です。

 インテリアはエクステリア以上にiQとの差別化が図られており、ダッシュボードやインパネ、シートの形状もオリジナルのデザインを採用。

 職人の手縫いによって上質な本革素材で包み込まれた内装は、圧巻の仕上がりとなっています。

 さらに外装色と内装色のコーディネートは、オーナーの希望によって自由に組み合わせることが可能など、まさに超高級車といえる注文方法も、シグネットのプレミアム感を際立たせていました。

 またシグネットの新車価格は475万円から490万円(日本販売時の税込価格)と、通常のコンパクトカーとは比較にならない設定となっており、あらゆる面で話題となったモデルだったといえるでしょう。

※ ※ ※

 このように見どころの多いシグネットですが、2011年から2013年という、わずか3年間のみ生産・販売され、ラインナップから消滅。

 この理由について当時の海外の報道では、販売不振に原因があると報じており、最終的にシグネットは総販売台数150台未満という少数で生産を終えたということです。

 しかし現在ではその希少性の高さからプレミアが付き、中古車市場では新車時を上回る金額で流通しています。

 アストンマーティンの誇る「クラフトマンシップの真骨頂」を最も身近に体感できたコンパクトカーとして、シグネットの存在は今後も語り継がれていくでしょう。

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