かつて新車購入後には必要となっていた「慣らし運転」ですが、現代の車においてはどうなのでしょうか。
■クルマの「慣らし運転」は何をすべき?
クルマの慣らし運転は、かつては新車状態のクルマのコンディションを高めるために、必要とされていました。
しかしエンジン技術の進化やエンジンがないEVの登場により、必要性が減ったとも言われていますが、現代の車においてはどうなのでしょうか。
慣らし運転を行う期間のことを「ブレークイン期間」といいます。
これは新車の状態からいきなり無理な走行を強いると、故障したり、パーツの急激な劣化を招いたりするため、一定の走行距離に到達するまでは、クルマの負荷になるような運転を避けるために設けます。
人間が、運動する前に準備体操するのと同じと考えるといいでしょう。
このブレークイン期間はメーカーや車種によって異なりますが、一般的に走行距離が1000km前後とされています。
先述のようにこの期間は、クルマに大きな負荷を掛けるような運転は禁物です。
では、具体的にどのような行為がNGなのでしょうか。
某自動車メーカーのディーラー整備士は次のように述べていました。
「一般的に慣らし運転の期間は、エンジンの回転数を一定以上上げないことが重要とされています。
また、ラフなハンドル操作や、急加速、急発進、急ブレーキもNGです。
速度の出し過ぎも避けるべきです」
つまり、綺麗に舗装された道路上を、交通ルールを守って安全に運転していれば、クルマに大きな負荷をかけることは少ないでしょう。
しかし、近年ではブレークイン期間が必要ないモデルがほとんどだそうです。
先述の整備士によると、「ひと昔前は必須でしたが、最近のクルマは以前より精密かつトラブルが起こりにくいように作られているので、慣らす必要がなく、新車であっても普段取りに運転しても特に問題はないでしょう」とのこと。
実際にホンダの公式ホームページ内のQ&Aでは、「慣らし運転を行う必要はありません」としています。
一方で日産は、一定の走行距離までは適度な車速、エンジン回転数で運転することが必要と公式ホームページで紹介するなど、ブレークイン期間を推奨しているメーカーもあります。
これらより、慣らし運転として、過剰に丁寧な運転をする必要はなさそうですが、ある程度クルマをいたわる運転は心がけるべきといえます。
なかでも、もしブレークイン期間が推奨されているクルマを購入した際は、一定の走行距離に到達するまでは、クルマに負荷を掛けない安全運転を心がけましょう。