最近、流行に敏感なユーザーの間で、「ピックアップトラック」の人気が再燃しているようです。なぜピックアップが注目されているのでしょうか。
■タイで生産される三菱「トライトン」がカッコいい!
2015年にトヨタ「ハイラックス」が国内で復活し、「ピックアップトラック(以下、ピックアップ)」に注目が集まるなか、三菱は12年ぶりに三菱「トライトン」が日本市場へ再導入するなど、同カテゴリーが盛り上がりを見せています。
ピックアップにはどのような魅力があるのでしょうか。
2024年に日本で復活を遂げたトライトンですが、初代は2005年に登場し、それまでの「ストラーダ」に代わるニューモデルとして販売されました。
頑丈なラダーフレームを採用し、最大積載量400kgのカーゴヘッドも装備する初代トライトンは、ピックアップ需要の高いタイで生産され、日本仕様は3.5リッターV型6気筒エンジンを搭載し、当時の「パジェロ」に搭載された「スーパーセレクト4WD」も採用しています。
ただしディーゼル車の設定がなかったことや、国内での大排気量ピックアップの需要が高くなかったことなどもあり、2011年に日本での販売は終了。その一方で海外では安定した人気を誇り、2014年に2代目へとフルモデルチェンジしました。
エンジンは2.5リッターディーゼルと2.4リッターガソリンがラインナップされ、乗り心地も乗用車に匹敵するほど改善されましたが、このモデルは日本市場へは導入さていません。
そして、2023年にフルモデルチェンジした3代目トライトン(現行)は、生産するタイで「カー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど大ヒットモデルに。
「今度のトライトンはカッコいい」と好評だったことや、昨今のSUVのオフフロード志向を受け、実用的な2.4リッターディーゼルエンジン搭載車が2024年に日本市場へ投入されました。
生産国であるタイでは、地方へ行くと多くのピックアップが走っており、現地でも新型トライトンは「カッコいい」と評判になっているようです。
では、なぜタイをはじめとするアジア圏ではピックアップが人気なのでしょうか。理由をタイ在住の日本人Y氏に聞いてみました。
「タイに限らず東南アジア諸国では、首都の中心地以外の道路の舗装が悪く、突然穴が開いていたりします。
そんな荒れた路面だと、車高が低いセダンではその段差で下回りを打ってしまうんです。
デコボコした道でも壊れない頑丈なクルマが求められるうえに、鉄道などの公共交通機関が日本ほど整備されていないため、クルマは重要な運搬手段となっています。
また、地方では荷台で人も物も運ぶ機会が多いため、必然的に大量にモノが積めるピックアップの需要が高くなっています」
亜熱帯特有の気温や湿度の高さ、雨季など、日本以上にタイは過酷な環境が多いことから、故障しても直しやすいシンプルな構造のクルマが好まれているそうです。
各種センサーなどが装着された最新モデルより、構造が単純で修理もしやすいクルマが必要とされているという現地ならではの事情も、ピックアップ人気の要因のひとつ。タイでは三菱を「ミツ」と呼んでおり、人気メーカーとなっているとのことです。
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昨今のタイは、日本以上の“クルマ大国”になりつつあり、2023年の「バンコク国際モーターショー」の来場者数は160万人を記録。この数字は、2023年の「上海モーターショー」の90万人を軽く超え、東南アジア最大の規模となるほどクルマ人気が高まっています。
さらに三菱だけでなく、トヨタや日産、ホンダなども以前からタイに生産工場を構えており、タイで生産されたクルマを日本で販売することも珍しくありません。
クルマ大国になりつつあるタイではピックアップの人気が高く、日本では販売されていない車種も多く存在。
トヨタはハイラックスよりも小型でシンプルな「ハイラックスチャンプ」というピックアップをタイで販売するほか、マツダも現地で新型ピックアップ「BT-50」を発表しました。
道路がしっかり舗装されている日本市場で、ピックアップ人気がどれくらい盛り上がるか楽しみなところもありますが、実際に乗ってみると実用性の高さに驚く人も多いのではないでしょうか。