スズキ「アルトワークス」は高性能でスポーティな味付けのモデルとして知られています。しかし、2021年登場の現行型「アルト」ではラインナップから消滅しました。今後、復活することはないのでしょうか。
■「アルトワークス」再びの復活はあるのか?
スズキ「アルト」は1979年の登場以来、安価な価格設定や使い勝手の良さなどが支持されており、約50年以上にわたってエントリー軽セダンの定番としてラインナップされています。
そんなアルトですが、かつて高性能ターボエンジンやスポーティな内外装を備えた「アルトワークス」というモデルが設定されていました。しかし、現行モデルにはラインナップされていません。復活はしないのでしょうか。
1980年代の軽セダンではそれまでの「廉価・必要最低限」といったポジションから、徐々に高性能化の一途をたどっており、高出力化を図るターボチャージャーの搭載が可能になると、各社でハイパフォーマンスなモデルが登場しました。
そうしたパワー競争のなか、アルトワークスは1987年に2代目アルトに初設定されました。
パワーユニットには当時としては軽自動車トップの64馬力を発揮する、550cc3気筒DOHCインタークーラーターボエンジン「F5A」型を搭載。のちに軽自動車の64馬力規制が敷かれるほどの強大なパワーを発生させました。
これに、大型フォグランプやアグレッシブなロアグリルの専用エアロバンパー、高性能を予感させるサイドデカール、大迫力の大型リアスポイラー、さらにピンクをあしらった派手な内装などを採用。
動力性能だけでなく刺激的なデザインなども評価され、当時の若者などを中心に人気を獲得します。
以後、ベースとなったアルトのモデルチェンジに伴い、アルトワークスもアップデートを続けていきます。
一方、ライバル車もダイハツ「ミラ TR-XX アバンツァート」や三菱「ミニカ ダンガン」などを投入して「激ハヤ軽」競争がヒートアップしたものの、徐々にその人気ぶりは衰えていきます。
5代目のマイナーチェンジが実施された2000年には、アルトワークスも消滅することとなりました。
それから15年が経過した2015年、前年に登場した8代目アルトにアルトワークスが追加設定。
乗用タイプの上級仕様「アルトターボRS」に搭載された660cc3気筒ターボエンジン「R06A」型は専用チューニングが施され、最大トルクは100Nmを発揮。さらに、専用KYB製ショックアブソーバーや、スポーティなクロスレシオの5速MTを搭載しました。
エクステリアではカーボン調フロントバンパーアッパーガーニッシュやブラックの専用15インチアルミホイールなどを備えたほか、インテリアもレカロ製専用シートや本革巻ステアリングホイールを特別装備。
かつてのアルトワークス同様、ホットな軽自動車に仕上がっていたことで、往年のアルトワークスファンのみならず、手軽にスポーティ走行ができるモデルを求めていた若年層に至る、多くのユーザーから支持されます。
ところが、2021年12月にアルトは現行型の9代目へとモデルチェンジするとともに、アルトワークスの生産を終了。さらに、全車がCVTとなりMTモデルの設定もないことに加え、ターボ車も用意されませんでした。
現行型が発表されて現在に至るまで、スズキからアルトワークスやターボ車、MT車の復活に関して一切の発表はありません。
一方で、SNSなどでは「アルトワークス懐かしい。また復活しないかな」「アルトワークス復活させてくれないかな…」「復活したら買うかも」「あの頃のホットなモデルが懐かしい」など、現在もなお、登場を心待ちにするユーザーも少なくないようです。