1998年式のホンダ「アクティ」が海外オークションにおいて約222万円で落札されました。一体どのようなモデルなのでしょうか。
■日本よりシアワセ!? 第2の人生を送る軽トラックが「高値」に
2024年8月8日、アメリカのオークションサイト「BRING A TRAILER」に出品されていた1998年式のホンダ「アクティ SDX」が1万5250ドルで落札されました。
日本円に換算すると約222万円(8月22日現在のレート)となります。125ccのバイクホンダ「CT70」1981年式モデル込みとはいえ、なかなかの金額です。
アクティは1977年にデビューした軽商用車・トラックで、MR(ミッドシップ)レイアウトやモノコックボディの採用など、他メーカーの軽トラックとは異なる特徴を持っています。
4回のフルモデルチェンジが行われ、4代目となった最終型は2015年3月に発売。多くのユーザーに支持され、愛用されてきましたが、ホンダの軽トラック市場からの撤退に伴い、2021年4月に生産および販売を終了。
惜しまれつつ、約44年の歴史に幕を下ろすこととなったのです。
このうち今回落札された個体と同じ2代目は1988年に発売されました。グレードは「STD」「SDX」「ATTACK」「TOWN」の4つで展開されます。
エントリーモデルであるSTD(2WD)の車両本体価格は65万5000円、トップモデルのTOWN(4WD)は93万円でした。
エンジンは排気量660cc、直列3気筒SOHCエンジンが搭載され、最高出力33psを発揮。これに組み合わされるトランスミッションは3速ATもしくは4速/5速MTで、駆動方式は2WDと4WDを選ぶことができました。
さて、アメリカのオークションサイトにて1万5250ドルで落札されたアクティ。ワシントン州で登録され、グレードは中上級モデルのSDXだといいます。
出品者の情報によると、日本からアメリカに輸出されたのは2024年ということで、今年の話です。
ボディは赤くペイントされている点が特徴ですが、実はこの個体、もともと神戸近郊の消防署で使われていたものとのこと。
屋根にはそのままパトライトが装備され、車内には消防車用のサイレンアンプ「TSK-312N」までもがそのまま残されています。
落札時点の走行距離はメーター読みでわずか約5千キロ、トランスミッションは5速MT、駆動方式は4WDといった仕様です。
一方で、米国に渡ってからは現地のオーナーにカスタムされたのか、タイヤは165/80 R13サイズのFORCEUM製「M/T 08 PLUS」オフロードタイヤと、メーカー名は不明ですが、社外品のホワイトのアルミホイールを履いています。
軽トラックという、アメリカには存在しない規格のクルマならではの物珍しさに加えて、日本車らしいクオリティや実用性の高さは折り紙付き。
さらに、毎日稼働前に日常点検が実施される消防車両だったということもあり、外装だけでなく内装やエンジンルームの隅々まで、手入れが行き届いた極上個体です。助手席シートにはシミがありますが、26年が経過した軽商用車と考えると、じゅうぶん良い程度だといえるでしょう。
程度の良い「CT70」込み(ただしこちらは登録ができない書類なし車)とはいえ、日本で新車販売されていたときの2倍以上の価格をつけて落札されています。
趣味車として所有するには申し分ないクルマだけに、オークションサイトで高値がつくのも頷けます。
無事に嫁ぎ先が決まったアクティ、英語を話す新しいオーナーのもとで第2の人生を送ることになるのでしょう。