利根川を渡る新たな橋「利根川新橋(仮)」が、悲願の開通に向けて、動き出そうとしています。いったいどんな橋で、話はどこまで進んでいるのでしょうか。
■「分断県道」解消に向けた新橋梁
利根川を渡る新たな橋「利根川新橋(仮)」が、悲願の開通に向けて、動き出そうとしています。
いったいどんな橋で、話はどこまで進んでいるのでしょうか。
埼玉県と群馬県のあいだを流れる「利根川」ですが、大規模な河川ということもあり、橋梁の数はあまり多くありません。
その中でも、熊谷~太田の国道407号「刀水橋」から下流の「利根大堰」までは、じつに10kmに渡って「橋梁空白地帯」となっています。両県間を移動する交通は国道407号へ全集中し、強烈なボトルネックとなって大渋滞を引き起こしています。
そのため、あいだに新たな橋を架けるべく、地元要望活動が続いています。埼玉・群馬・栃木の6市4町による「利根川新橋建設促進期成同盟会」は、1997年に発足。以後、実に30年近くにわたり、実現に向けて活動が行われてきました。
そんな活動が実を結ぼうとしています。2023年に埼玉県と群馬県のあいだで、調査のための協定が締結され、当年度内にさっそく測量作業が着手となったのです。
2024年度には、いよいよ地質調査や橋梁設計が行われていきます。
橋が架けられるのは、国道407号「刀水橋」から約6km下流の赤岩地区です。
ここは現在、無料の「赤岩渡船」が運行されており、歩行者や自転車は利根川を渡ることが可能になっています。この渡船は、埼玉・群馬県道「熊谷館林線」の一部であり、県道の機能を果たすべく、公共渡船で無料運輸を行っているというわけです。
しかし、自動車が渡れなければ、あまり意味はありません。県道としての本来の役割を果たすべく、渡船に代わって橋梁が建設されていきます。
とはいえ、橋だけ作ったところで、その周囲の「熊谷館林線」は、両県とも生活道路のレベルで、交通流をさばくには遠く及ばない道路状況です。そのため、橋のアクセス道路整備も急務となっています。埼玉県では、すでに用地取得の準備として、現地測量や家屋調査に着手しています。
なぜこんなに長い時間がかかり、今になって動き出したかというと、実は近隣に「妻沼グライダー滑空場」があり、航空法で建築物の高さ制限が設定されているという、難しい背景がありました。
ところが、上流側にあった「妻沼ゴルフ場」が2020年に閉業。これで、グライダー滑空場に移転のめどがついたのです。折しも、当エリア周辺では利根川の河川整備事業が近づいており、橋の建設と堤防強化工事が一体で進められるチャンスでもありました。
両県にとって悲願である「利根川新橋」は、いよいよ工事着手に向けて急ピッチで近づきつつあります。