ブラジル日産は2024年8月3日、同国で開催する桜まつりに、日本的デザイン塗装を施した日産「ヴァーサ」を展示すると発表しました。その発表には深い意味があったようです。
■日系ブラジル文化を象徴する祭りに登場した「特別なセダン」とは!?
2024年8月3日、日産のブラジル法人が同国の都市「カンポス・ド・ジョルドン」で催される桜まつりで、同社が開催したデザインコンペで優勝した日本的デザイン塗装を施した日産「VERSA(ヴァーサ)」が展示されました。
ヴァーサは、日産のグローバル戦略車で北米、南米、アジアなどあらゆる地域で販売されるコンパクトセダンで、「アルメーラ」など異なるネーミングで売られている地域もあります。
ボディサイズは仕向地によって少しの差異がありますが、国産車ではトヨタ「カローラ セダン」と同等の大きさ。
米国で2024年モデルのエントリーグレードが1万6130ドル(約232万円)で発売されるなど、各国では入門車としてや生活の足として高い人気を得ています。
ヴァーサは現在、日本での販売はありませんが、2004年から2015年に販売されたコンパクトハッチバック「ティーダ」やその派生セダン「ティーダ ラティオ」、その後継車「ラティオ」がヴァーサと同じ系譜といえます。
その後日本市場ではティーダやラティオが販売終了し、コンパクトカー「ノート」が実質的な後継車となりましたが、不人気だったセダンは整理されました。
なおこのタイミングでヴァーサはフルモデルチェンジが実施されており、現在は3代目が世界各国で販売されています。
2024年8月3日の日産ブラジル法人の発表では、同社が開催した「第4回日産グラフィックデザインアカデミックコンペティション」で優勝したリアン・ピエリ氏のプロジェクトを具体化しデザインされた「ヴァーサ」が、ブラジル主要都市の1つ「カンポス・ド・ジョルドン」で開催される「第53回桜まつり」で展示されることになったとのことです。
1908年から始まったブラジル移住は、現在約200万人以上となり移民および移民2世、3世が日系ブラジル文化を創り上げてきました。
その中のひとつが「桜まつり」にあります。
日産はデザインペンティションで、日系ブラジル移民に経緯を表したデザインを施したヴァーサを、最も熾烈を極めたという「アカデミック・グラフィック・デザイン・コンペティション」を優勝作品に選出。
日系ブラジル文化の象徴の1つである桜まつりで展示することを決めています。
そのデザインについて、審査員の1人で南米日産のデザイナーでもあるフェルナンド・アンドラーデ氏は次のように話します。
「日産エモーショナルジオメトリーデザインに沿った日本文化のテーマのリアンの解釈は、非常にうまく実装された。富士山、サムライ、鳥などのデザインは、流動性と調和をもってヴァーサにとても合っている。
また彼が選んだ色もマッチしていて、日産のDNAを感じた」
南半球に位置するブラジルは、今から春本番です。地球の反対側で日本のクルマが日本の文化を伝えて盛り上がるという、心温まるニュースでした。