さまざまな製品を手掛けるヤマハ発動機は、農業の自動化を実現する乗りものを開発しています。2022年にお披露目された「果樹園作業支援自動走行車」とは、どのようなコンセプトカーなのでしょうか
■果樹園での作業を支援する「スゴい乗りもの」
ヤマハ発動機(以下、ヤマハ)は、まるで「屋根なし軽トラ」ともいえるユニークなコンセプトカーをかつて発表していました。
それが、2022年10月に開催された「農業WeeK」で披露された「果樹園作業支援自動走行車」です。
ヤマハは、二輪車や四輪バギー、電動アシスト自転車などのランドモビリティ事業に加え、ボート、船外機などのマリン事業、サーフェスマウンターやドローンなどのロボティクス事業などを展開しており、それらのノウハウを活かし、農業に貢献するモビリディとして、果樹園作業支援自動走行車を開発しました。
エクステリアは、丸目のヘッドライトに淡いグリーンのボディカラーを採用。さらには、果樹園での走行を想定し、障害物に対する独立バンパーやオフロードタイヤ、シートの後方に収穫した果物を入れるカゴ置き場が備わるほか、ボンネットには通信用のアンテナが設置されています。
“動く作業台”をコンセプトとした果樹園作業支援自動走行車は、リモコン操作により樹列に沿って自動走行・停止を行います。
シートは通常の前方を向く仕様に加えて横向きに転回することが可能となっており、車両のサイドに座り、果樹園などの樹列で、枝の剪定や受粉、摘果、収穫などの作業をおこなうことができます。
また、荷台はリフトアップすることが可能で、高所の作業にも対応。各種作業の時短、軽労化を実現します。
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ブドウや梨、りんごなどの果樹は背が低く、成人男性が作業する際には腰を曲げたり屈んだりしないと、木の枝に頭をぶつけてしまうことがあります。
そのため果樹園では、古い軽トラックの屋根を切った作業車を収穫や運搬時に使用しています。
そしてヤマハは新規事業のひとつとして“農業自動化”を掲げており、果樹園作業支援自動走行車のコンセプトモデルでは、その一端を担うソリューションを目指しているといいます。